秋田のむかし話/秋田県国語教育研究会編/日本標準/1974年
姉の名前は米福、妹の糠福。妹はあとからきたお母さんの娘。
あとからきたおかさんは、糠福ばかりかわいがり、米福をいじめてばかり。
ある日、栗拾いに行くが、母親がわたしてくれた袋は、米福のほうは袋の底が抜けていて、いくらひろってもいっぱいにならない。糠福は袋がいっぱいになると、さっさと帰ってしまった。
日が暮れかかって、米福が、しくしく泣いていると、なくなったおかさんがでてきて、家に帰ったら板の間に、ころばしてやれと、大きな栗をひとつぶ渡して、姿をけしてしまった。
家に帰ると、あとのおかさんが、栗を拾ってきたかと大声をあげたので、米福は、だまって、おかさんからもらった栗を床板の上にころばしてやった。すると、栗は見る見るうちにふえて、台所一ぱいになった。
そのあとも、米福はあとのおかさんから、いじめれていたが、ある日、だしぬけに、長者の家から、米福をよめにくれてけれと いってきた。
おかさんは、「米福は、みにくいし、ぶしょうものだから、なんとか器量がよくて、働き者の糠福を、もらってくれ」と、長者に頼みにいくが、長者は、すなおな米福のほうを、もらいたいといったので、米福がよめに いってしまった。家に残った糠福は、「くやしい、くやしい」と、泣き騒いだとも、どうにもならない。「ああら、うらやましでゃ、うらつぶ。」といって、そばの池にはまって、とうとう、うらつぶ(たにし)になってしまった。
長者は、米福を、気立ての良い、かわいいむすめっこだと、思っていたんだと。ちゃんと見ている人がいたんですね・・。