三人兄弟、三頭の馬がでてきて、ガラスの山を三度駆け上る話。
・ガラスの山のぼり(世界むかし話 ドイツ 矢川澄子・訳 ほるぷ出版)
百姓が、自分が死んだらお棺を開けたまま教会におかせてもらって、毎晩夜とぎをするよう三人のむすこに言い残して亡くなります。
息子三人の末っ子は「ばか」とよばれていました。
上の二人は夜とぎを末っ子のクリスチャンに代わりをつとめさせます。
クリスチャンが死人の父親からもらった黒い笛をふくと、は一日目には、一頭の黒馬
二日目には、栗毛の馬
三日目には白馬
があらわれます。黒い笛、茶色の笛、白い笛は教会の壁の穴にかくします。
上の二人はまたぞろ、クリスチャンにつらくあたります。
あるとき、けわしいガラスの山にすんでいるというお姫さまの手から指輪をぬき、ハンカチをもらってきたものを姫を妻としてとらせるというおふれがだされます。ただガラスの山には馬でのぼるという条件がついていました。
クリスチャンが、教会にかくしてあった笛をふくと馬があらわれ、
一回目は、黒馬で山の中腹へ
二回目は、栗毛の馬で、山のてっぺんのすぐ下
三回目に、白馬で頂上までのぼりつめ、お姫様の指輪とハンカチをもらうことに成功します。
クリスチャンンは、お姫さまから「こんなこじきがあたしの夫になるんですって?」といいますから、見た目はひどかったのでしょう。
・ガラス山のおひめさま(太陽の東 月の西/アスビヨルンセン・編 佐藤俊彦・訳/岩波少年文庫/2005新装版)
牧場の草が、夏至がくるといつもすっかり根元まで食べつくされて、困った男が、三人の息子に、見張りをいいつけます。
ここでも、末っ子のアシュラッドは、上の二人からからかわれる存在。
まず一番上の息子が見張っていると、夜もふけたころ、大きな地震が起こって、一番上の息子は、逃げ出します。草はすっかり食べつくされていました。
二番目の息子のときも同様でした。
アシュラッドは何とか地震にたえると、あたりはしいんとしずまりかえります。
外で音がするのでアシュラッドが戸の隙間からのぞいてみると、一頭の馬がさかんに草をたべていました。馬の横には鞍と手綱があり騎士の鎧が一着そろえてありました。
アシュラッドは、この馬が草を食べたと思い、火うちがねを馬のからだ越しに投げると、馬はそのままおとなしくなってアシュラッドの思うようになります。
アシュラッドは、いままでだれもいかない場所に馬をつないでおきました。
その次の年の夏至にもおなじことがおこります。手綱や騎士の鎧は全部銀です。
翌年もおなじことが。
この国の王さまは、ガラスの山に馬でのぼれたものと、おひめさまを結婚させるといいます。ひめさまから三つの金のリンゴをもちかえる条件がついていました。
ここでも、アシュラッドはみたこともないような見事な馬で、一度目は三分の一ぐらいまでのぼり、おひめさまがなげた金のリンゴをひとつ、もちかえります。
二度目は三分の二で。
三度目はてっぺんで。
一度目は、しんちゅうの騎士、二度目は銀の騎士、三度めは、金の騎士の姿です。
いずれも、冒頭部は兄弟の勇敢さを試しています。
ガラスの山は急でけわしくのぼりにくいこと、この上ない難所。そんなところに住んでいるのは、孤立していることをしめすのかも知れません。
ガラスは比較的近年のものと思っていたら、何千年もさかのぼることができるようです。
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