クマとオオカミ/ダニエル・サルミエリ・作 やまぐち ふみお・訳/評論社/2021年
一面に雪がふりつもり、風のない夜の森。クマは、白く輝く 地面から生えてきたようなオオカミに出会い、オオカミも、地面から生えてきたようにクマに出会います。
クマは「つめたい くうきに あたって、ゆきが ふった もりの しずけさを たのしもうと、さんぽに でかけたのよ」といい、オオカミも、「あしもとの つめたさを、かんじて あるくたびに ゆきが きしきし いうのを ききにきたのさ」と、いっしょに森の中を探検に。
木の皮の湿ったにおい、雪のかけらが、ゆっくり けがわに まいおちる、かすかな 音を聞きます。二頭を見下ろしているのは 一羽のトリ。
二頭は、凍った湖の雪を かきわけると、くもった氷を通して、眠ったように じっとしている 魚を みつめました。
帰る時間になると、「また あえるといいな」と、それぞれ反対側に あるいていきます。
そして春、二頭は びっしりしげった 草むらで 再会です。
特に事件がおこるわけでもく、冬の凍てつく中で、しずかに散歩する二頭。冬の寒さでなければ見えない風景です。
冬の寒さの中で、春をまつか、それとも真夏の暑い時期に、ひんやり感を楽しむか?。