おしょうとえんまさま/君島久子・再話 佐藤忠良・絵/福音館書店/2024年第二刷
むかし、中国のえんま様のお祭りには、村の人びとがいろんなおそなえをしていました。
欲張りのえんまさまから、「だれがいちばん おそなえを けちけちしていたか?」ときかれた手下が、ここをとおる百姓が、いちばんけちとこたえました。おこったえんまさまは、お百姓を こらしめることにしました。
えんまさまの手下の鬼たちは、稲が実らないよう 「あたまがほそく、ねっこがふとくなる」 魔法をかけることにしました。ところが、これを聞いていた えんまさまと同じお堂に住んでいる堂守のおじいさんが、お百姓に、そっとおしえてやりました。そこで、それを知ったお百姓は、稲を作るのをやめて里芋を植えたので、その年は やまほどの さといもが とれました。
えんま様に怒られた鬼たちは、こんどは、いもがとれないように、「まんなかをふとく、うえと したをほそく」する呪文をかけることにしました。
堂守のおじいさんからこれをきいたお百姓は、こんどは、トウモロコシをうえたので、その年は、たべきれないほどのトウモロコシがとれました。
うえからしたまで ふとく・・さとうきび
あたまを むっくり したを ひょろひょろ・・稲
つぎつぎに 鬼たちの呪文を逆手にとるお百姓の知恵が生きています。
中国の昔話の再話ですが、落ち着いた佐藤忠良さんの絵も楽しめます。
作物が育たないような案を出し、呪文をかけ 実行するのは鬼たち。じぶんは何も考えていないえんまさま、鬼たちを叱る資格はなさそう。
野菜の特徴がよくでている昔話で、野菜の入門編としてもつかえそうです。