どんぴんからりん

昔話、絵本、創作は主に短編の内容を紹介しています。やればやるほど森に迷い込む感じです。(2012.10から)

おしゃくしょうとえんまさま

2024年12月28日 | 絵本(昔話・外国)

  おしょうとえんまさま/君島久子・再話 佐藤忠良・絵/福音館書店/2024年第二刷

 

 むかし、中国のえんま様のお祭りには、村の人びとがいろんなおそなえをしていました。
 欲張りのえんまさまから、「だれがいちばん おそなえを けちけちしていたか?」ときかれた手下が、ここをとおる百姓が、いちばんけちとこたえました。おこったえんまさまは、お百姓を こらしめることにしました。

 えんまさまの手下の鬼たちは、稲が実らないよう 「あたまがほそく、ねっこがふとくなる」 魔法をかけることにしました。ところが、これを聞いていた えんまさまと同じお堂に住んでいる堂守のおじいさんが、お百姓に、そっとおしえてやりました。そこで、それを知ったお百姓は、稲を作るのをやめて里芋を植えたので、その年は やまほどの さといもが とれました。

 えんま様に怒られた鬼たちは、こんどは、いもがとれないように、「まんなかをふとく、うえと したをほそく」する呪文をかけることにしました。

 堂守のおじいさんからこれをきいたお百姓は、こんどは、トウモロコシをうえたので、その年は、たべきれないほどのトウモロコシがとれました。

 うえからしたまで ふとく・・さとうきび

 あたまを むっくり したを ひょろひょろ・・稲

 つぎつぎに 鬼たちの呪文を逆手にとるお百姓の知恵が生きています。

 


 中国の昔話の再話ですが、落ち着いた佐藤忠良さんの絵も楽しめます。

 作物が育たないような案を出し、呪文をかけ 実行するのは鬼たち。じぶんは何も考えていないえんまさま、鬼たちを叱る資格はなさそう。

 野菜の特徴がよくでている昔話で、野菜の入門編としてもつかえそうです。


この記事についてブログを書く
« はんたいばかりの おかみさん... | トップ | なきむし »
最新の画像もっと見る

絵本(昔話・外国)」カテゴリの最新記事