どんぴんからりん

昔話、絵本、創作は主に短編の内容を紹介しています。やればやるほど森に迷い込む感じです。(2012.10から)

矢柄の笛ふき・・三重

2025年02月18日 | 昔話(中部)

     三重のむかし話/三重県小学校国語教育研究会編/日本標準/1977年

 

 口が長い矢柄という魚は、秋になると、海面に顔を出しては、いい音色の笛をふくんだと。

 あるとき、矢柄とトビ魚とイワシが集まって話をしていた。そのころのイワシは、「イワシのシ」という名前だったが、どうもよびにくい(ほんと!)というので、シをとって、イワシをとしたらどうかということになって、それいらいイワシとなったという。

 イワシは、「矢柄は口が長くて、海面に顔をだすことができる、トビ魚は、海面をとぶことができる。おれもいちどは、海面に顔を出して、海の上を見たい」とくやしがり、矢柄に笛をふいて、イワシを集めてくれるようにたのみました。

 わけをたずねられたイワシは、「なかまがあつまったら、いっぴきずつ上に乗っていったら海の上が見られる、一番上になったものから交替してみれば、イワシだって、あんたらのなかまいりができる。」といいました。

 そこで矢柄が、プュー、プュー、プューとふくと、イワシが集まってきた。

 ところが、ちょうど昼どきだったので、腹のすいていた矢柄とトビ魚は、集まってきたイワシをどもを、大きく口をあけて、つぎつぎに食べてしまった。それでイワシだけは、いまだに海の上を見ることができないという。

 

 ところで矢柄(ヤガラ)には、いくつか種類があり、日本近海で漁獲されるのは主にアカヤガラとアオヤガラという。ヤガラは口が長いことから、フエフキと呼ばれることもあるといいます。高級魚で、これまでえんがありませんでした。


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