どんぴんからりん

昔話、絵本、創作は主に短編の内容を紹介しています。やればやるほど森に迷い込む感じです。(2012.10から)

火をぬすんだウサギ

2022年04月20日 | 絵本(昔話・外国)

   火をぬすんだウサギ/宇野和美・再話 パブロ・ピシック・絵/玉川大学出版部/2022年

 

 アルゼンチンの先住民ウィチーのおはなしとありました。

 

 むかしむかし、ジャガーが大切な火を独り占めしていました。

 としよりのサルが火をわけてくれるよう頼みにいきますが、ジャガーに、一喝されてあわてて逃げ帰りました。

 ちからずくで奪い取ろうとしても、盗もうとしても、ジャガーにはかないません。

 モグラのツコツコが、長い長いトンネルを掘って、火のそばにいきますが、あと少しのところで、音を聞きつけたジャガーに、顔を殴られてしまいます。

 つぎになのりでたのはウサギ。ウサギが、釣りが得意なサギに 魚を何匹かとってもらい、それをおみやげにジャガーのところへでかけます。「火であぶったら ほっぺたが おちるほど おいしくなる」といって、魚を火であぶりはじめます。うさぎはゆっくり じっくり やいていきます。そしてジャガーが うとうとしはじめると、そのすきに、赤くもえている火を 魚の尾に移し、火をつつみこむように 魚を たたんで あごのしたに はさみ、だっと かけだしました。

 その気配で、ねむりかけていたジャガーが、目をさますと、焚火の上で 魚がおいしそうにジュージューやけています。けれどもよくみると、かけていくウサギのあごのしたから 煙がでていました。騙されたとおもったジャガーがウサギを追いかけていくと、ふるえあがったウサギは、火のついた魚をぽーんと草むらに放り投げました。すると、かわいた草が燃えあがり、風にあおられ、火はもえひろがります。ジャガーが火を踏み消そうとしましたが、木から木に 燃えうつります。それをみた動物たちは、木の枝に火をうつして、もちかえります。

 

 むかしから、ほかの人をかえりみず、富や力を独り占めしようとした人のなんと多いこと。力を過信すると とんでもないことに!。


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