・がまの皮(がまの皮/子どもに贈る昔ばなし10 がまの皮/小澤俊夫監修/小澤昔ばなし研究所/2010年初版)
じさが蛇に飲み込まれそうになったひきがえるを助けるかわりに、娘を一人、よめにやると蛇に約束することからはじまります。
じさには三人の娘。
上の二人は、とんでもないと断りますが、末娘は「よめにいくで」と千成りふくべと針千本をもって、へびのところにいきます。へびは娘がもっていった針を沈めようとして毒が回って死んでしまいます。
後半部はがらりと場面がかわります。
末娘は、へびによめにいったといううわさが広がっているだろうからと、旅に出ます。
娘は、途中にであったばさまからがまの皮というのをもらい、それをかぶって年寄りのよごればさに変身し、長者の屋敷で働きはじめます。
長者の息子が、夜になると変身前の姿になる娘を見て、恋煩いになって、やがて娘と結婚するという結末。後半部は、日本版シンデレラ物語。
途中で会うばさは、ひきがえるが変身してもおかしくはないのですが、一人暮らしで、寂しいところにきてくれたので手助けをしてくれる存在です。
・うばっ皮(わらしべ長者 日本民話選/木下順二・作 赤羽末吉・画/岩波少年文庫/2000年初版)
同じ再話で、モチーフが同じですが、細部は大分異なります。
娘が途中で会うばあさんは、カエルの変身とはっきりしています。
子どもに贈る昔ばなしでは、三人の娘がでてきますが、木下版では一人。
長者のわかだんなが、娘を見初めるのは芝居見物にきていた美しい娘。
わかだんなに、芝居見物をすすめられ、娘はせっかくいくならと「うばっ皮」をぬいで、芝居小屋にはいったのでした。
子どもに贈る昔ばなし版では、娘が部屋で本を読んでいるのをみて、恋煩いになるのですが、木下版のほうが舞台の設定が巧みな感じがします。
・おんば皮(子どもに語る日本の昔話②/稲田和子・筒井悦子/こぐま社/1995年初版)
タイトルがことなりますが、同じ話です。
子どもに贈る昔ばなし版とおなじようですが、冒頭部がことなります。田んぼの水がかれてしまって、だれか水をかけてくれる者がいたら、三人の娘の一人をよめにくれてやるんだが、とひとりごとをいうと、次の日、田んぼには水が入っていて、そのときおおきなヘビが帰っていきます。
ヘビからのがれた娘が、途中、ひきがえるのばばから「おんばの皮」をもらって、長者のところにでかけていきます。
ヘビに飲み込まれそうになったカエルを助けるのが、田んぼが日照りになって、独り言をいうと、ヘビが水を田んぼに入れるというほうが、受け止めやすい。
うばのかわ/てのひらむかしばなし/長谷川摂子・文 小西英子・絵/岩波書店/2009年
文だけではイメージしにくいが、そこは絵本。”うばのかわ”にはお面までついています。
”うばのかわ”をくれるのが、じいさまに命を助けてもらった、ひきがえると、はっきりしています。
あかりがみえる様子が「ぺかん ぺかんと あかりがみえる」
うばのかわをくれたばあさまが、「にがっと わらって ぼふぁっと きえてしまった」
山賊があらわれるのは「わらわらと さんぞくが とびだした」
と 長谷川さんの文のリズムも楽しい。