たまごからかえった家/しずくの首飾り/ジョーン・エイキン・作 猪熊葉子・訳/岩波少年文庫/2019年
たまごからかえったのは一本足の家。家がたまごからかえったのにはこんなわけがありました。
四人連れの音楽団。ギリシャ人のゼノはチター、アイルランド人のイワンはハープ、フランス人のスクピノーはトライアングル、インド人のダンヌーはドラムをたたきました。
どこへいっても四人は歌い、楽器をひきならながら食べ物やお金をもらい、おんぼろ自動車で移動していました。
ある冬、あれた土地のこおった川をわたっているとき、氷がわれて車はゆっくりと水の中にしずんでいきました。風が吹き雪がふっていました。
四人は、ツルの巣、クマの穴、小さな家で、一晩とてくれるようにたのみますが「おかえしには、なにをしてくれる?」と聞かれ「うたったり、ひいたりしてあげます」とこたえますが、どこもとめてくれません。
ちいさな木の家には、おじいさんがすんでいましたが、ベッドも椅子も一つ、たまごもひとつとことわらます。
この小さな家のそばに井戸があって、つるべがさがっていました。「せめて水だけのんでも、じいさんが文句をいうまいよ」と、イアンがつるべを引き上げると、なにやら白いものが、ころがりでました。フットボールよりも大きい玉で、玉は丘をころがり落ちていきました。
おじいさんからおどかされて、にげだした四人は丘の上でふしぎなものを見ました。小さな一軒の家が一本足で立っていたのです。
その家のちいさなおばさんは、「わたしの家が、きょう、うんだたまごをみつけてくれば一晩とめてやろう」といいます。どうも盗まれてしまったようでした。
大きさを聞くと、それはおじいさんの井戸にあった白いもののようでした。
苦労して なんとか たまごをみつけ、おばさんの家にもちかえりますが、たまごには大きなひびがはいっていました。そのひびがみるみるうちに長くなっていき、おばあさんの家とそっくりの一本足の家が、たまごのなかからでてきました、
「これじゃたべられないよ」と、おばあさんはいって、さっさと自分の家にはいってしまいます。
約束が違うと四人が言うと、おばあさんは「自分の家がちゃんとできたじゃないか」とこたえます。
四人は、たまごからかえった家にはいりこんで、ねむりました。次の日、四人のあとを、一本足の家がひょこひょことついていきました。
一本足といえば、すぐにバーバー・ヤガーの家がうかびます。この家も黄色でニワトリの足のように、うろこでおおわれていました。
この四人組、家連れ?ですから、それからはとまるところに困ることはありません。
物語の進行には、四人組の国籍はあまり関係がありませんが、国際色豊かな音楽団です。このメンバーどこで知り合ったのでしょうか。
こんな楽しい話なら、たまごから他の物が かえるという話があってもおかしくなさそうです。