ボート池エリアは、営巣にふさわしい場所が少ない。抽水植物もないし、何しろボートが近くまで来るので、巣が壊される可能性が高いのだ。
それでも、ボートが入れない一角があって、そこでは2014年の最初のかいぼり以来、ずっと営巣が続いている。
今年度は、そのエリアで激しい縄張り争いが始まった。3月21日のことだった。
その後なかなか営巣は始まらなかったが、5月上旬、2か所で巣作り抱卵が始まる。
1つは、たぶん縄張り争いで勝ったペア(Dペアと呼ぶ)で、ボートの入らないエリア、もう1つは、以前営巣したが、ボートの被害にたびたびあってきた場所を選んだペア(Eペアと呼ぶ)だ。
Dペアは、縄張り争いに勝ったにもかかわらず、なかなか営巣を始めなかった。水面に浮かぶ桜の枝に巣材をひっかけて作る方式だったが、あっちに作ってみたり、こっちに作ってみたり、雌雄の気持ちがなかなか一致しない。
▲桜も散った4月6日、相手の背中に巣材を載せる?
▲水面に出る桜の細い枝にイトモをひっかけた巣で交尾(5月3日)
▲それでも5月7日には卵が1つ
▲5月7日には卵が2つ。9日には3つ。
順調にいけばそろそろ雛が孵ると思われる頃、異変が…。
▲卵がない!(5月22日)
▲あわててまた交尾をしたり、他の場所に巣材を運んだり。
▲3度目の巣は、卵を4つ載せたまま流れる。
▲再挑戦 7月2日
何度巣作りしても、もう少しで孵るかと思われる頃、卵が無くなる。
そして、その原因は、やはりアオダイショウだった。
▲巣に乗るアオダイショウ
その後、このペアは何度も巣をつくるが、卵を1個産むとすぐにアオダイショウに襲われ、また挑戦するという繰り返しを10回近く行った後、ついに営巣を諦めた。卵は総計20個は産んだと思われるが、すべてアオダイショウのお腹の中に入ってしまった可能性が高い。アオダイショウもすっかり味をしめ、卵を産むのを待っていたかのようだった。
こうして、2014年からずっと営巣が続いたこの場所で、初めて雛が1羽も孵せない年になってしまった。
ペアが代替わりをして経験が浅かったからなのか、単に不運だったのか。来年この場所で営巣するペアはいるだろうか。