2019年、2020年と、地元の池ではカイツブリの雛が40羽以上誕生したわけだが、それらの雛たちは、その後どうなったのだろうか。
池には今数羽の若鳥がいるが、他の若鳥たちは、無事に成鳥になって、どこかへ飛んでいったのだろうか。
今地元に残っている若鳥たちは、親の給餌は受けていないが、親とともに行動しているものもいる。一番子たちは池からいなくなっているようだが、2番子たちは、大きさは同じぐらいでも、いろいろなタイプがいる。
▲親兄弟から離れ、完全に独り立ちして河川部で暮らしている若鳥 10月1日
▲まだピイピイ鳴きながら親鳥についてまわる若鳥。
鳴き声がだんだん濁ってくるので、声変わりと(私は)呼んでいる。
繁殖を終了した親鳥は、あまり邪険に追い払わない。
▲家族そろって暮らしている一家(10月14日)
▲オオバンの様子に興味津々の若鳥
今まで観察してきた中で、カイツブリが一人前になるまでに、親から多くのことを学んでいるらしいことはわかってきた。
餌の種類・餌の捕り方はもちろん、巣の作り方(水草で巣を補強するのをまねる)・卵の暖め方(親が産んだ卵の上に座る)・ヘビなどの天敵への対処の仕方(親と一緒に威嚇する)、そして今年は縄張り争いの仕方まで学んでいることもわかった。
かいぼり後、餌はある程度豊富になっているので、今年の繁殖の苦労は、巣づくりや天敵問題が目立った。
地元では3種類の巣が作られる。
抽水植物の根元:一番安定している巣。場所が限られている。
木の枝に巣材を掛けた巣:抽水植物がないエリアで多く見られる。場所が限られている。水位が変わると壊れやすい。木の枝を伝ってカラスやヘビが襲ってくる。
沈水直物の上に浮く巣:簡単に作れる。流れやすい。
よい場所に巣をつくることが繁殖の成功につながるので、その確保が大事なのだろう。ペアの気持ちが合わないとうまくいかない。
今年は天敵(アオダイショウ・スッポン・カラス)の被害が増えた。ある生き物が増えれば、それを狙う生き物も増えるのは自然の摂理。カイツブリたちが、天敵への対処の仕方をどう身に着けていくかが成功のカギとなるだろう。
「ここはカイツブリたちの楽園だ。」という人がいたと耳にしたが、生き物たちには楽園はないのだと思う。