東京都庭園美術館(旧朝香宮邸)の建物の特別公開に行きました。
この建物は20世紀初旬に流行した芸術様式「アール・デコ」スタイルが、凝縮されたものとして有名です。ルネ・ラリック、アンリ・ラパンといったフランスのデザイナーが腕をふるったことでも知られています。
現在では、建物やプロダクトはシンプルなものが主流です。余計な体裁にお金をかけない、そういう意味では理にかなった在り方だと思います。そのような価値観からすると、今回見学したような「アール・デコの館」は、体裁に惜しみなくお金をつぎ込んだ装飾の極地、のようなものです。
ですが、そのひとつひとつのデザインを見ているだけで、陶酔してしまいそうなくらい美しい。ひとつの住宅にこれだけお金をかけることは、これからはあまり無いのでしょうけど、このように装飾に手が込んでいて、時に大胆、時にシック、そんなデザインをすることは、並大抵の力量でできるはずはありません。物事をシンプルにデザインするのは、時に安易な逃げ口上にもなったりしますが、どのようなスタイルをとるにしても、極めないと本当の美しさはでないのでしょうね。
写真の渦巻き装飾のオブジェは「香水灯」。陶器でできていて、この中に香水を入れて明かりを灯すと、その熱で香水の香りが家の中に広がっていくというもの。そんな楽しみ方とデザインが一体となって、時代を超える美しい空間になっています。
洗面台もかわいい!洗面台もカガミも、小振りなのだけれど、どれもが目鼻立ちがはっきりしたかわいいオブジェ。勉強になります(笑)