毎年この時期に、高校時代の同窓会があります。より詳しく言えば、寮仲間の同窓会。
僕は高校時代に京都の実家をでて、埼玉県にある早大本庄学院で寮生活をしました。寮といっても、大きな寮舎に大勢で寝泊まりするのではなく、学校周辺に散在する小さな寮に分かれたホームステイという形式でした。留学などのような純粋なホームステイではありませんが、ひとつのステイに対し20人ほどが入居します。僕の同期は6人。学校からも駅からもイチバン遠いところにある田んぼのなかのホームステイで、遊びに行く場所がなかった分、団結したようでした(笑)
当時は聞かない盛りの高校生だった我々も卒業して17年、30半ばになりました。この年になってようやく、ステイのおじさん、おばさんご夫妻のご苦労が少しずつわかるようになってきたものの、毎年バーベキューをご馳走になり、相変わらず甘えてばかりです・・・。
もう今はホームステイを閉寮されて、ご夫妻ふたりの生活に戻られています。部屋も風景もあの時のまま。変わって欲しくないという気持ちと、人気がなくなった部屋に寂しさを感じる気持ちと。
僕がいま密かに思い抱いていること。それは、おばさんが趣味にされているお茶のために、広い庭の一角に小さなお茶室をつくることです。それは僕のささやかな恩返しの気持ちです。なぜって、この寮の部屋の中で、僕はコルビュジエ著「建築をめざして」を読みながら、建築家への道を夢見たのですから。