動かない人工物としての住宅を設計していると、常に変化があり移ろいやすい庭の存在が、とても魅力的に思います。だから、住宅を設計するときにはつとめて、庭や屋外とのつながりを大事にしています。
写真の風鈴は、スペインのお土産のもの。チリンチリンという日本的な音とは少し違って、長さの異なるパイプがいろいろな音程を奏でます。ジューンベリーのもりもりとした緑に隠れて姿は見失ってしまいそうですが、遠くで音色を聴くと、やはりどこか癒されます。
水をためたバードバス。西日を背景に見ると、水盤がくっきりと空の光を映し込んで、何か誘われるような雰囲気があります。
カタチのデザインだけでは、居心地よい場所、美しい場所はつくれない。そんなことを強烈に感じたのは、桂離宮を訪れたときのことでした。雨のしずくまでをも考慮に入れた修景は、大学で学ぶ建築空間デザインの何倍も、繊細なものでした。古人が持ち合わせていた繊細な感覚に、僕もなんとか少しでも近づけるように、磨いていかねば。