「富士の二つの家」の工事が進んでいます。
棟上げから一週間、棟梁を頭にして数人の大工さんの手によって、一気に形になってきました。大きな壁面をもつ、片流れ屋根の群造形。そんなイメージを目の当たりにして、建築家C・ムーアが設計したシーランチ・コンドミニアムのことを連想しました。シーランチは崖地に建って海を臨んでいるけれど、こちらは富士山を臨んでいます!・・・と言っても決して張り合っているわけではありません(笑)
この日のメインの打ち合わせは、庭に面した木製窓や板壁の作り方について。風合い、質感、いろいろな意味で、僕は住宅設計のなかに、なるべく木製の建具を使いたいと思っています。師匠の村田さんから教わった木製建具の勘所を思い返しながら、図面を引き、現場に持ち込みます。ただ肝心なのは、実際に大工さんが造れるようになっているかどうか、ということ。
こんな風につくりたいんです、と、工事監督と棟梁の前に図面を広げ、説明をしました。しばらくの間、沈思黙考。これはちょっと緊張する時間です。でもそのうち、棟梁が静かに二度三度、ゆっくりとうなずいてくれました。この現場が、うまくいってくれることを何となく感じ取れる瞬間でもあります。ほっとしました。
夕方になり薄暗くなってきて、照明を点けての作業。工事中なのに、明かりがともった家というのは、どこかほっと和みますね。
上棟の際には、お施主さんが、工事関係者の皆さんのために、家の模型写真がはいったオリジナル・クオカードをつくってプレゼントしてくださいました。施工担当・富士木材の川口さんのブログにもありましたが、僕もこれはもったいなくて使えません(笑)