オノ・デザインで設計監理している住宅の現場の様子を、少しご紹介したいと思います。
「東山の家」。鉄筋コンクリート造のなかに、八畳と四畳半のふたつの茶室をもつ住宅。床柱が現場に据えられて、いよいよ本格的に茶室の造作が始まっています。高揚感と緊張感、そのふたつの感情の狭間で、現場を見る目にも力が入ります。
床柱や床框は、お施主さんといっしょに本所にある数寄屋専門の材木屋さんまで見に行きました。八畳に用いる北山杉の磨き丸太、四畳半に用いる赤松皮付丸太、ともに穏やかで優美な表情をもち、茶席に荘重な趣をもたらしてくれることと思います。
「東伏見のコートハウス」。約30坪の細長い敷地に、中庭のある住宅をつくっています。周囲は住宅が建て込んでいる敷地ですから、中庭をつくって、その廻りに生活空間が広がるようにプランができています。屋根の形を利用して、天井の低いところ、高いところがひと続きにつながり、変化のある室内空間になりました。まだ骨組みが組み上がったばかりの現場。ですが、しばらくいると、徐々に「効いて」くると言いますか(笑)、なんとも言えない居心地の良さがあります。
「青葉の家」。仙台に建てているこの住宅は、震災の影響を大きく受け、資材と人手が足りない状況のなかですが、しっかりと骨組みを建ち上げることができました。桂離宮のようにジグザグと雁行しながらゆったりと広がるプランのこの住宅は、やがてここに植えられる木々の緑と一体となった雰囲気を念頭に置いて設計してあります。まず高木のヤマボウシの株立ちが、先行して現場に仮植えされました。家も木々も、時間をかけてしっかりとこの土地の一部になってほしい、そんな風に思います。