秋に国立新美術館で開催されていた「モダン・アート,アメリカン」展に行ったときに購入した、一枚の絵ハガキの写真です。ジョージア・オキーフ作「葉のかたち」という油彩。画面からはみ出さんばかりに、草花をバンッ!と大きく描くのがオキーフ流。この絵を、ずっと眺めていました。
どこか抽象化されたカタチに思えます。でも記号的ではありません。
具象的な図像にも思えます。でも写実的ではありません。
つまり、抽象と具象の狭間の深いところに、この絵はあるのだろうと思います。
血が通るような葉脈の表現。鮮烈な葉の裂け目。でもその表現には、作者の感情移入は無いかのような、淡々とした表現です。それを観ていると、視覚的なことではなく、ものごとの「存在の在りよう」だけが抽出されているのかな、と思えてきました。それは、ものごとの本質を観ているような感覚でもあります。
この絵には物語性は感じられず、ただ観ることしかできません。ただ、形と色と質感があるだけ。その表情を確かめるようにずっと観ていると、だんだんと穏やかな気分になってくるから不思議です。
写真だとなかなか伝わりづらいですが、実際にこの絵を観ていることによって感じられる静けさや穏やかさ。絵画がもたらすべきもののあり方として、とても意義深いものを感じます。本当にいろいろなことがあった一年ですから。
また来年もブログによろしくお付き合いください。どうぞ良いお年を。