こんなことは想像だにしていなかった!日本人のフェンシング選手がオリンピックでメダリストとなり、テレビで試合を放映され、新聞の一面に「フェンシング」の文字が躍るなんて!!・・・というのは北京オリンピックの時の話。そして今回のロンドン五輪でも、個人・団体戦ともにしっかりライブ中継されていた時には、涙が出そう(?)でした。
僕は高校時代に部活動でフェンシングをやっていました。テレビ中継をお目にかかったことはないですし、新聞紙上でも、その扱いは一番隅っこで小さく、というのがお決まりでした。フェンシングをテレビや紙面で観る、というのは、もう20年越しの憧れでした。(笑)
上の写真はその時に使っていた剣で、日本選手がメダルをとったのと同じフルーレという種目の剣です。右の剣は「フレンチ」と呼ばれるグリップで、初級者向け。そして左の曲がりくねった剣が「ベルギアン」というグリップで、中級以上向け、といった扱いです。初級者向けのフレンチ・グリップは、手のフィット感がイマイチなのですが、正しい剣の構え方を練習したり、剣を大振りするクセを矯正するのに向いていて、部活動を始めて1年間はこの剣を使っていました。2年生になり、ある時期になってようやく監督から「許し」が出て、ベルギアン・グリップを手にした時の感動は、今でも覚えています。手にしっくりと馴染むグリップを持って剣を構えると、なんだか気分だけは強くなったような気がしたものでした(笑)太田選手が使っていたのも、このベルギアン・グリップだったように思います。
道具を使う競技は数多くありますが、フェンシングもその最たるもので、剣がまさに命のようなものです。日本に数軒しかないフェンシング用品店で、剣心やガード、グリップなどを、自分に合ったものを選び購入して、大切に使う。今あらためて見返すと、傷だらけの満身創痍といった姿です。滑らないようにテーピングを巻いたり、切れた電線をハンダ付けしながら直したり・・・。1本の剣に、いろいろな思い出がつまっています。今はもうフェンシングを競技としてすることはないけれど、この剣だけは手放せそうにありません。