もう十数年も前に、ポルトガルの第2の都市ポルトで出会ったかわいい市電。
ドウロ川沿いにトコトコ走ります。
とっぷりと塗り重ねられたペンキ。
飴色になり、傷だらけの木の内装。
摩耗して鈍く光る金属。
ものが時間を経ていく様がそのまま表れているのを見ると、それだけで心にしっくりと馴染みます。
ポルトガルでは当たり前にみられるそんな光景が、日本では稀有なものになってしまいました。
かといって、ポルトガルでも旧市街と新市街ははっきりと分けられ、それはまるで別の光景です。
新市街はといえば、やはり古色然としたものは敬遠される感じのように思います。
この古びた光景は、いつまで残ってくれるでしょうか。
車窓に映り込むレトロな型ガラスの質感が、街並みの質感とも調和していきます。