コルトーナの街で

2019-03-02 22:17:14 | 旅行記


3月になると、これまで行った旅行のことをよく思い出します。
なぜか3月に旅行に行くことが多いのですが、それはたぶんオフシーズンで旅費が安いとか、観光客も少なくてゆっくりできるとか、そんなこともあって、まだ寒く身も引き締まる思いで旅に出ることが多かったように思います。

写真は10年近く前に行ったイタリア・トスカーナの街 コルトーナ。
初期ルネサンスの至宝とされる宗教画などもあるものの、小さくて静かな山の上の街。

あたりまえのものが持つ美しさ、そんなものに僕は心惹かれます。
コルトーナの街を歩くと、写真のような佇まいによく出会います。
地元で採れる石でできた壁と、木の分厚いドア。
ドアノブは開けやすいように大振りで、何度も握られてすっかり摩耗していい味になっている。
少し模様のつけられた床の舗装は、素朴だけれども、樹影を引き立てています。

自然素材を多く使える風土というのはうらやましい限りとはいえ、これみよがしなデザインがないのに、この美しさはなんだろう。
ここで暮らし、この家のなかで仕事をし、晴れた日にはこのテラスに椅子とテーブルを出して休憩する。


さして特別ではない、でも気に入ったものに囲まれた静かな生活。
そんなあたりまえの日常の光景を思い描くだけで、なんだかじんわりと幸せな気持ちになります。
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