夏も近づき、日に日に庭の緑も濃くなります。
アトリエの玄関前には古いモミジの木があって、玄関前に覆いかぶさるようになりました。
モミジの木の方が建物より古いですから、むしろ建物がモミジの木に寄り添っているというほうが正しいかもしれませんね。
道路から外観としてみると、主役はモミジの木で、なかば隠れるようにして玄関ドアが見えます。
木製の玄関ドアは濃色で着色され、ドアハンドルは真鍮製なのですっかり風合いが出ています。
こんなふうに古びた雰囲気は素敵だなと思います。
以前にフィレンツェを旅行した時に、左官塗りの壁と、古びた木の窓枠、摩耗した石の床、それらに緑の影が映り込んで揺らめいている光景をよく目にしました。
その旅行の直後に設計したこのアトリエには、そんな風情の記憶が色濃く影響しているのかもしれません。