ピカビア通信

アート、食べ物、音楽、映画、写真などについての雑記。

デコッパチ

2008年05月31日 | 芸術


昨日の、BSNHKの番組はすごかった。
SL特集ということで、過去のSLの映像を紹介する
という番組だったのだが、何が凄いかというと、それ
だけを延々4時間あまり流してしまうというその番組
作りの姿勢だ。
こんな番組が成立するのも、鉄男と鉄子が復権したか
らなのだろうか。
鉄道に特別関心はないのだが、一体どんな人が見てい
るのだろうかと想像しながら、結局二時間以上も見て
しまった。

SLというのは、構造がむき出しで、音も人間の息遣
いのようで擬人化し易い。
それに、汽笛が山々に反響するものだから、一気に郷
愁が襲ってくる。
そこに「新日本紀行」のテーマでも流れたら、一瞬に
してタイムスリップだ。
トンネルに入ったときの、火の玉が車窓を走る光景と
か、映画の「フォッグ」のように煙が車内に侵入して
くる様子などなど、あまりに懐かしい思い出が蘇る。
こういうのを見て、人間にとって適度な速度というの
は存在するのだ、などと思うようになったら、その時
点で現代社会から脱落だ。

NHKが続くが、その後の「プライム10」という番
組の一言には思わず笑ってしまった。
「赤塚不二夫特集」だったのだが、その中で「松尾ス
ズキ」が現在の「ニャロメ」にインタビューするとい
う設定の場面があった(アニメで)。
そこでの一言が傑作だったのだ。
こんなこと言ってNHKとしては大丈夫なのか、と心
配になったくらい。

「ニャロメ」もいろいろな影響力があったという話の
中での一言「奈良美智の絵はデコッパチだ」(という
内容、勿論これは松尾スズキの見解だと思うが)。
いつから、デコッパチが「芸術」になってしまったの
だろう。
こんな疑問を持っている人は多いはずだ。
確信を持って疑問なのだが、イラスト、アニメをキャン
ヴァスに油絵で大きく描けば「コンテンポラリーアート」
、って違うだろうと常々思っているので、この一言に
は大きく反応してしまった。
蛭子さんの絵だって、100号以上のキャンヴァスに
油絵で描けば立派な作品となりうるのだ。
「リキテンシュタイン」がアメリカンコミックをポップアー
トにしたのは衝撃的だったが、その二番煎じのような、
しかも、普通のイラスト、どう捉えれば良いのか。
「コンテンポラリーアート」、未だ袋小路から抜け出
せず。
と、いろいろ楽しませてもらった昨日のNHKであった。
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