ピカビア通信

アート、食べ物、音楽、映画、写真などについての雑記。

ゴダール シルビアのいる街 悪人

2011年11月08日 | 映画

 

ニコニコ動画でゴダール「メイド イン USA」を観る。笑ったのは、最初三千何がしのアクセスがあったのだが、その次にはそれが五分の一位に減っているところ。流石はゴダール、視聴者を寄せ付けない。映画は大衆娯楽である、などという世界とは対極に位置しているわけだが、凄いと思うのは、それを昔から徹底しているところ。迎合などという言葉はゴダールの辞書には存在しないのだろう。この作品も、当然物語として理解して納得という映画ではなく、どういうこと?と思うような場面の連続である。コラージュ的手法に戸惑うと最後まで「わけ分からん」で終わってしまう。しかし、そのリズムを受け入れることができれば、これが結構心地よくなったりする。但し、時たま眠気は誘う。重要なのは、理解しようと思わないことだ。

もう一つ物語性のない映画を観た。ゲロメッティYから借りた「シルビアのいる街で」という映画。ホセ.ルイス.ゲリンというスペインの監督で、勿論観るのは初めて。映画は、延々ストラスブールの街とシルビアという女性を追い求める主人公(滝沢秀明に似ている)の姿を描くだけ。会話は殆どない。しかも、映ってるのはストラスブールの路地と建物、そしてそこを通る人々。下手をすると、ただの観光用の宣伝フィルムである。が、ここがポイントなのだが、映像には視線の元にいる人間の息遣いが感じられるのだ。どこか物語の発生を予感させる。そこがドキュメンタリーとは違う点だ。つまり、この映画は発生の予感に満ちた場を描いた作品である、と言えるかも知れない(何のこっちゃ)。物語の寸止め映画。ゴダールは物語を解体し、こちらは物語の発生前。

そしてテレビでやっていた「悪人」を一部観た。全く食指が動かなかったのだが、折角なので。役者の熱演は良く伝わってきたが(従来の演劇論のいい教材になるだろうとは思った)、映画としての特別な感想はない。あと、荒涼とした風景はどこか北欧を思わせ、念入りにロケハンしたのだろうことも伝わってきた。

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