ぴかりんの頭の中味

主に食べ歩きの記録。北海道室蘭市在住。

【本】若さに贈る

2009年09月15日 22時00分02秒 | 読書記録2009
若さに贈る, 松下幸之助, 講談社現代新書 74, 1966年
・パナソニック(旧松下電器)の創始者である松下幸之助から世の若者へ宛てたメッセージ。自身の丁稚奉公の体験談から話は始まり、仕事一筋の青年時代を経て、話は『世界』にまで及びます。「血の小便を流すような努力を」、「仕事に命をかけろ」と言われても、今では少々時代錯誤の感もありますが、その口から出る言葉にはやはり、聞く人の耳を傾けさせる重みがあります。
・書店にて出版社としてよく見かける『PHP』の文字ですが、その母体の創設が、同著者によることを初めて知った。
・本書は現在絶版で、PHP文庫に出版社を変えて出ています。
・「老年には老年の喜びがあり、生き方があると、むかしの賢者はいっています。けれどもわたしは、いつまでも若くありたい。青年期のごとくありたい。そして、そうできるはずだと信じているのです。」p.11
・「わたしが座右の銘として仰ぎ、維持しようとしているものを、あなたは労せずして現にもっているのです。あなたの毎日は、そういう尊い日々です。かりそめにもおろそかにすることがあっては、まずあなた自身の損失であり、そして世の中の損失です。」p.14
・「砂糖は甘く、塩は辛い。それはだれでも知っています。しかし、それは議論したり、考えたりしてわかるのではない。その甘さ、その辛さを知るには、まずひとくちなめてみることです。体験の尊さはここにあります。(中略)しかし今日、体験を抜きにした、空疎な議論がなんと多いことか。」p.23
・「わたしは小さな町工場をつくり、小さな形で商売を始めましたが、終始一貫、わたしの仕事は公正明大であることを心がけ、そしてその実行に努めてきたと、わたし自身いうことができます。」p.36
・「このカメラマンのような熱心さ、つまり、一時間という与えられた時間を最大限に、まちがいなく生かすために、一時間半前から準備し、そして、集中的スピードで仕事をする。それは戦場をかけ回るばあいとまったく変わらない、いのちがけの仕事ぶりであり、これでなくては、アメリカではやっていけないのです。アメリカが日本にくらべて、ひとり当たり十倍の生産をし、そして十倍の収入をえている原因も、そういうところにあるのにちがいない。」p.45
・「苦労して積み上げていくのが、結局は、ものごとを早く確実に成就する道であるという道理は、あらゆることにあてはまる。――このことをしっかり腹におさめるべきだと思います。」p.64
・「すこしオーバーないい方かもしれないが、一人前の商人になるまでには、二度や三度は小便が赤くなる経験がいるのだ。」p.67
・「そうした、家康とは持ち味のちがうひとが、そのままそっくり家康のまねをしようとすれば、必ず失敗するでしょうし、じっさいからいっても、そっくりまねることなど、できるものではありません。また、家康以上の資質を備えたひとがいて、自分も家康をまねて、と考えてやったところで、必ずしも成功するとはかぎりません。むしろそこには、失敗の危険性のほうが多い気がします。」p.78
・「社会の繁栄と安定――それはお互いが、各個人が適性に立つということに、その基礎があります。適材が適所に生かされるほど、より高い社会が招来されるのです。そしてそれこそが、あなたもわたしも、みんなが、よりしあわせに生きる最良の道だと思います。  くり返しますが、ひとは適性がとらえた仕事にわがいのちをかけるべきです。」p.85
・「まず、これから世の中に立って仕事をしていくには、自分をよく見きわめ、自分の適性を知らなければいけない。そして、それに対して徹底的に忠実であること。名誉とか、利欲にからんで目がくらんではならない。そのようなことに心を動揺させないだけの信念をおもちなさい。そうすれば、その仕事がなんであれ、あなたはじゅうぶん生きる。世にもし成功ということがあるとするならば、それが真の成功への道である――。  つまり、あなたは、自分にもっとも適した仕事を通じて社会に貢献することができ、自分のためになり、そして、失敗とか過誤をおかさなくてすむのです。」p.87
・「いのちをかける――それは偉大なことです。あなたの人生観を根本的に変え、もののほんとうの価値というものを認識させてくれる。いのちがけのひとでなくては、人間の生命の真の価値を知ることは困難だとわたしは考えています。」p.98
・「感謝する心とこわさを知る心とを忘れてはならないということです。」p.112
・「すべてに感謝しながら、こわさを知る謙虚さを持し、そうして着実に前進への努力をつづける――あなたの真の力はそうしてこそ養われていくといえましょう。」p.117
・「お金というものは、もうけようとやっても、なかなかもうかるものではない。」p.121
・「この世に必要な物を、ただにひとしい水道の水のように豊富にすれば、わたしたちの貧苦はなくなるであろう。そうすると、わたしの使命は、水道の水のように、豊富で価値のある電気器具をつくり出すことだ。現実にはなかなかそうはいきませんが、この世の理想としては、物資をただにひとしくなるほどあふれされることだと考えたのです。」p.127
・「わたしは、いま書いたように、まったく平凡な出発をしました。だれでも、わたしと同じ境遇・状況では、そうせざるをえないような、ごくふつうのことをしたのです。そういう出発をして、今日こうなっているのは、わたしに運があったからだと思うのです。」p.128
・「つまり、わたしたちは、自分の意志だけではどうにもならない、さまざまな条件のもとに各自が生まれ、生きていると思います。そこでわたしは、つい最近もある大学で講演したさい、いちばん偉い人間とはどういうものか、あなた方はどう思うか、わたしは、いちばん偉い人間というのは、運の強い者だ、といったのです。」p.128
・「あなたの成功・不成功というものは、与えられた10%の範囲を努力するかいなかということです。90%は自分の力以外の力の作用であると信じれば、けっしてうろたえることはなくなります。」p.131
・「ここで注意をうながしたいのは、自分は運がないとか、運が弱いとか、自分で自分の不幸を捜すような愚は避けてほしいということです。あなたは、現在ここにこうして育ち、生きている――それだけでも、相当な運があるのです。」p.133
・「頭はそれほどよくなくても、つぎつぎとすぐれた創意くふうをしていくひとがあります。そうさせるものは、そのひとの熱意です。賢いひとの考えよりも、しばしば、まとをついたアイディアを生む。」p.144
・「「あなたは外国へも行かれる。それが困る。もしあんな眼鏡をかけて行かれると、日本には眼鏡屋がないのかと思われる。その程度に、日本を評価されてしまう。わたしはそれを防ぎたくて、あの手紙を差し上げたのである。  わたしはこの言葉を聞いて、商売気を抜きにした広い視野と考え方を教えられました。そして、このひとは世界一の眼鏡屋さんだと思いました。」」p.156
・「わたしは思うのです。金も物も自分のものと思うから奇妙な欲が出る。責任ある預かりものだ。むだに使ってはならない。それを有効に使い、社会にそれを返すことによって責任は軽くなり、われわれの住む社会が成り立っていくのだ――。」p.159
・「ひとは、もともと責任を問われるところに、ひととしての価値があるのだと思います。責任を問われることが大きければ大きいほど、それだけ価値が高い、ということがいえましょう。ですから、責任をとわれることろに、生きがいもあろうというものです。責任に生きがいを感じる――これはひじょうにだいじなことのように思われます。」p.168
・「民主主義は、ひとに依頼する主義ではない、ということを、まずあなたは知らなければいけません。あなたみずからの使命をはっきり自覚して、そして、義務を遂行していく責任をもつ――そういうことが根底におかれているのが真の民主主義だと思います。」p.171
・「物価が上がることは政府も困り、事業家も困り、商店も困り、国民全体が困る。仕事がしにくいし、暮らしは苦しくなる。しかし、民主主義だということで、三晩も徹夜して話し合いがつかないような審議をしたり、自分の権利を主張することだけに集中して、最初からけんか腰で相対し、順調に運んでいいはずの交渉や取り引きを長びかせたりというようなむだをしていたのでは、物価は上がらないわけにはいかないといわなければならないでしょう。国民お互いが日常しているすべてのむだが、物価を上昇させている。  物価のこと、経済のことはすべて、天然現象ではないのです。それは人為であり、つまりところは、あなたやわたしたちみんなの、心の問題だと思います。心の持ち方でどのようにもなることです。」p.177
・「ヒトはサルから進化したものだといわれてもわたしは信じない。人間ははじめから人間だったとおもうのです。サルはサル、ウマはウマ、タイはタイ、ヘビはヘビ。最初からそうだったとおもっています。人間は最初から人間であって、これからも永遠に人間であると信じています。」p.181
・「高い道徳の復興――これが戦争を起こさないための大きな条件です。高い道徳が優位をしめているところ、国家間に戦争は起こらない。」p.184
・「本来、ひとはみな、対立しながらしかも調和しているのです。  すべてのひとが、それぞれに対立し、それぞれの力をいっぱいに発揮しながら、しかも全体として調和していく。これはまた、宇宙そのもの、存在そのものの姿だと思います。」p.186
・「わたしは、第二次世界大戦が終わった直後、廃虚と人心混乱、政治の貧困を眼のあたりにしつつ、このままでは日本の復興も再建もとうてい望めない――という公憤に発して "PHP" の研究を始めました。(中略)PHPとは、Peace and Happiness through Prosperity の略で、これを邦訳すれば、「繁栄によって平和と幸福を」ということになります。ここで繁栄というのは、単に物質的な豊かさのみをいうのではなく、精神的な豊かさ、すなわち「心も豊か、身も豊か」な姿をいうのであります。」p.190
・「人間はみずから神を創造し、その創造した神に教えを乞うてみずからを高め、高まった自分をさらに高い神にもっていく――こうした営みをする人間。それは、神そのものであるかのようなことを考えます。とても羊を知るように簡単にわかる相手ではありません。」p.198
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【写】神の子池(清里)前編

2009年09月15日 08時00分31秒 | 撮影記録2009
●神の子池(清里)前編 撮影日 2009.5.3(日) [清里町][Yahoo!地図]
・今回の旅行で一番楽しみにしていた『神の子池』前編。

・清里町の山中を走る道道1115号線沿いに『神の子池風景林』の大きな看板がたっています。ここで道を折れて、砂利道へ入る。聞いた話によると、かつては看板も何も無い「秘境中の秘境」という雰囲気だったそうですが、今では道路標識(青看板)にも印字されているメジャーな観光地です。

・途中の道路脇にはまだ雪が多く残っていました。これだと4月頃でもまだ雪が残っていて車では入れないかもしれません。うら寂しい山道にもかかわらず、後から後から対向車がやってきて、この分だと池はかなり混んでいそう。

・林道をガタガタ2kmほど進むと、車が20台ほどはとめられそうな広い駐車場に出ます。
 
・池の手前にある看板。「湧水量 1日12,000t」とのことですが、いまいちイメージが湧きません。しかし、1時間で500t、1分で8tちょっとと考えると、かなりの水量であることが分かります。

・他の見物客の姿が見える池の方へ行ってみる。
 
・池からの流れに合流する小川。
 
・まずは池の上の方に回ってみる。道端には「ハトイ札弦林道」の看板が。まだ完全な雪道です。
 
・上から見た池の全景。少々樹木が邪魔ですが、事前の情報通り確かに青い!
 
・はっきりと青く見えるのは池の中心のみで、水深の浅い周辺部は特に青くは見えません。
 
・池の中心部分のアップ。
 
美瑛の青い池とは質の異なる澄んだ青さです。
 
・水底の倒木は、水温が低いために腐らずにその原形を保ち続けているそうです。

・池の周囲を移動しながら写真を撮りまくる。
(後編へ続く)

>>> 【旅】北海道東部半周旅行 まとめ

[Canon EOS 50D + EF-S18-200 IS]
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