「医師こそリベラルアーツ!」の連載第9回が,日経メディカル「Cadetto.jp」にて公開されました(https://tinyurl.com/26j4tq35).これまで岐阜大学で開催してきたリベラルアーツ研究会のミニレクチャーを紙面で再現しています.医師・医学生は会員登録のうえ,無料でご覧いただけます.
今回は,隠岐さや香著『文系と理系はなぜ分かれたのか』を課題図書とし,医療の学問的な位置づけと,今後の医療者に求められる視点について考察しました.本書によると,日本における「文系・理系」の分化は,18~19世紀の蘭学や洋学の流入を契機に始まったそうです.その後,明治時代以降の技術革新と経済成長の流れの中で,「理系偏重」が進み,科学技術に基づく「選択と集中」の改革が進行しました.しかし皮肉にも,現在の日本の科学研究の競争力は低下し,社会が直面する課題の多くが科学技術のみでは解決できないことが明らかになりつつあります.「理系」と「文系」を超えた思考力が求められているということだと思います.
このような考え方に立つのが,理系科目にアートを加えたSTEAM(Science, Technology, Engineering, Arts, Mathematics)教育です.科学的知識と人文的知見を融合し,より豊かな人間性をもつ医療者を育成することが,これからの時代に求められるのではないでしょうか.医学教育の礎を築いたウィリアム・オスラーも,「医療はアートであり,商売ではない.医療は使命であり,単なる仕事ではない.医療とは,頭と同様に心を働かせる使命である」と述べています.
次回は,稲盛和夫氏の『生き方』と『心。』を題材に,「医療者としての生き方」について考察していきます.
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今回は,隠岐さや香著『文系と理系はなぜ分かれたのか』を課題図書とし,医療の学問的な位置づけと,今後の医療者に求められる視点について考察しました.本書によると,日本における「文系・理系」の分化は,18~19世紀の蘭学や洋学の流入を契機に始まったそうです.その後,明治時代以降の技術革新と経済成長の流れの中で,「理系偏重」が進み,科学技術に基づく「選択と集中」の改革が進行しました.しかし皮肉にも,現在の日本の科学研究の競争力は低下し,社会が直面する課題の多くが科学技術のみでは解決できないことが明らかになりつつあります.「理系」と「文系」を超えた思考力が求められているということだと思います.
このような考え方に立つのが,理系科目にアートを加えたSTEAM(Science, Technology, Engineering, Arts, Mathematics)教育です.科学的知識と人文的知見を融合し,より豊かな人間性をもつ医療者を育成することが,これからの時代に求められるのではないでしょうか.医学教育の礎を築いたウィリアム・オスラーも,「医療はアートであり,商売ではない.医療は使命であり,単なる仕事ではない.医療とは,頭と同様に心を働かせる使命である」と述べています.
次回は,稲盛和夫氏の『生き方』と『心。』を題材に,「医療者としての生き方」について考察していきます.
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