Neurology 興味を持った「脳神経内科」論文

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flexion contractureはなぜか副腎機能低下に伴って生じる屈曲性拘縮である

2024年06月29日 | 医学と医療
カンファレンスで,flexion contractureについて議論しました.これは筋硬直により,腰が曲がり,両股関節や両膝関節も屈曲して歩行が困難になる状態をいいます(図1).筋硬直は下肢から腹部に多くみられますが,顔面や上腕にも生じるため,フランス語でcontracture facio-brachio-abdomino-crurale en flexionとも呼ばれます.



また筋硬直に加え屈曲性拘縮,有痛性筋痙攣を呈します.このため臨床的に自己免疫性・傍腫瘍性のStiff-person症候群やIssacs症候群との鑑別を要することになります.原因は汎下垂体機能低下症,ACTH単独欠損症,Addison病,Sheehan症候群などに伴う副腎機能低下です.論文を渉猟してみましたが,副腎機能低下がなぜこのような症候を来すかはまだ解明されていないようです.ただし関節拘縮は不可逆的なものではなく,「ヒドロコルチゾンによるホルモン補充療法」を行えば回復します.その期間も早い症例では数日(!)から数週で回復します(長い症例では数ヶ月かかります;図2).いずれにせよ治療可能な病態ですので,このような症候を認識し,見逃さないことが重要だと思いました.


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