慢性特発性偽性腸閉塞症(chronic idiopathic intestinal pseudo-obstruction; CIIPS)という疾患がある.慢性の腸閉塞症状を呈するものの器質的な腸閉塞は存在せず,原因が分からない状態を指す.しかしこのなかには,何らかの原因があるにもかかわらず診断がつけられないため,CIIPSと呼ばれているケースが少なからず含まれているものと思われる.神経疾患が原因であることも少なくなく,ざっとPubMedで検索してみてもアミロイドーシス,膠原病(SLE, 強皮症),ミトコンドリア異常症(MELAS,MNGIE)が原因となりうる.paraneoplastic syndromeでも起こるらしく,胸腺腫や小細胞癌に併発した慢性偽性腸閉塞の報告も数例ある.腫瘍細胞と腸管神経叢の抗原に分子相同性(molecular mimicry)があり,腫瘍細胞に対して産生された抗体が交差反応を示すものと推測されている.
今回,繰り返す慢性偽性腸閉塞を主訴とし入院,検索の結果,抗voltage-gated potassium channels (VGKC)抗体陽性のneuromyotonia (Isaac's syndrome)に加え,胸腺腫を認めた50歳女性がフランスから報告されている.イレウス症状は種々の消化器内科的治療で改善せず,最終的にthymectomyに加え,血漿交換を行っている.血漿交換によりneuromyotoniaは改善しなかったものの,消化器症状は劇的に改善した.著者らは原因不明の慢性偽性腸閉塞の診断に抗VGKC抗体の検索,胸腺腫の有無の確認が有用であると報告している.
個人的には消化器内科の先生が,CIIPSの原因検索を目的に患者さんを神経内科に紹介してきた経験はないが,今後,このようなコンサルトが少しずつ増えるかもしれない.また神経内科医としても慢性偽性腸閉塞が診断のヒントとなることを覚えておいて損はないだろう.
Eur Neurol 53:60-63, 2005
今回,繰り返す慢性偽性腸閉塞を主訴とし入院,検索の結果,抗voltage-gated potassium channels (VGKC)抗体陽性のneuromyotonia (Isaac's syndrome)に加え,胸腺腫を認めた50歳女性がフランスから報告されている.イレウス症状は種々の消化器内科的治療で改善せず,最終的にthymectomyに加え,血漿交換を行っている.血漿交換によりneuromyotoniaは改善しなかったものの,消化器症状は劇的に改善した.著者らは原因不明の慢性偽性腸閉塞の診断に抗VGKC抗体の検索,胸腺腫の有無の確認が有用であると報告している.
個人的には消化器内科の先生が,CIIPSの原因検索を目的に患者さんを神経内科に紹介してきた経験はないが,今後,このようなコンサルトが少しずつ増えるかもしれない.また神経内科医としても慢性偽性腸閉塞が診断のヒントとなることを覚えておいて損はないだろう.
Eur Neurol 53:60-63, 2005
なかなか大変ですわー
臓器移植を今年します!!