Neurology 興味を持った「脳神経内科」論文

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AI時代を生き抜くための5つの力@「医師こそリベラルアーツ!」連載第6回

2024年09月27日 | 医学と医療
「医師こそリベラルアーツ!」の連載第6回が,日経メディカル「Cadetto.jp」にて公開されました.次週9月30日に,岐阜大学にて行ってきたリベラルアーツ研究会は30回目を迎えますが,各回で行なった私のミニレクチャーを紙面で再現する企画です.

今回の「AI時代を生き抜くための5つの力」では,AI技術がどんどん発展するなか,現代人が身につけるべき能力について考察しました.参考にしたのは,『サピエンス全史』で知られる歴史学者ユヴァル・ノア・ハラリの『ホモ・デウス』と,人工知能プロジェクトのディレクター新井紀子教授の『AI vs. 教科書が読めない子どもたち』の2冊です.これらから読み取れる教訓をご紹介しました.

まず,ハラリはAIやバイオテクノロジーが進化することで,人間が自らの能力を向上させる「アップデート」が可能になると予測しています.例えば,寿命延長や知能強化など,人間の限界を超えるような技術が登場し,それにより「ホモ・デウス」(神のような人間)が出現すると指摘しています.同時にこのアップデートを享受できる人とそうでない人の間に大きな格差が生まれるリスクや,技術が進歩することに伴う倫理的な問題も顕在化すると述べています(アミロイドβ抗体療法など,その一端はすでに始まっています).一方,新井は日本の中学生の読解力不足に警鐘を鳴らし,AIに対抗するためには,深い読解力と批判的思考力が必要であると強調しています.

この2冊を通して,私は「AI時代を生き抜くための5つの力」として,以下を挙げました.
1. 批判的な視点で物事を見る力
2. 倫理的な判断力
3. 学び続ける姿勢
4. 共感力
5. 創造力


本文では,これらの能力を養うために必要な読解法・批判的思考の訓練,倫理的思考の磨き方など,私の実践している方法をご紹介しました.また共感力や創造性といった人間特有の能力が,AI時代においてますます重要になると解説しました.



さて次回は創造性を磨くために必要な「芸術(Art)」をテーマにしたいと思います.課題図書は「芸術は爆発だ」の岡本太郎氏による『今日の芸術』(光文社、1999)と『自分の中に毒を持て』(青春出版社、2017)を取り上げます.なお本連載は,医師・医学生限定コンテンツで,医師または医学生の方は,会員登録すると記事全文がお読みいただけるようになります.

過去6回の内容はこちらからご覧いただけます(https://tinyurl.com/239ct6zb).




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