Neurology 興味を持った「脳神経内科」論文

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うとうとしたときに「ひらめき」が湧く!

2021年12月13日 | 睡眠に伴う疾患
写真は手に鉄球を持ったトーマス・エジソン像です.エジソンは発明がうまくいかなくなると,鉄球を持って肘掛け椅子で昼寝をしました.睡魔に襲われて眠ると手にした鉄球が落ちますが,その音で目が覚めたときにインスピレーションが湧き上がったという有名な逸話があります.

それから100年以上経った今,フランスの研究者たちが,睡眠と覚醒の間の移行期,すなわち深い眠りの直前のうとうとし始める頃(睡眠医学的にはノンレム期のstage N1)に共通する脳活動が,創造的な閃きを引き起こすか検証しました.ちなみにこの時間帯は,筋が弛緩して,ヒプナゴジア(hypnagogia)と呼ばれる半覚醒状態になりますが,通常は外部から起こされない限り本人は気づきません.

さて実験は103名の眠りやすい参加者が集められ,ほとんど瞬時に解くことができる隠れたルールがある数学の問題を,そのルールを知らずに受けました.その後,右手にボトルを持って,暗い部屋の中で目を閉じて椅子に座って眠ってもらいました.そしてstage N1に15秒以上眠ることで,この隠れたルールを発見する確率が,眠る前の約3倍になりました(覚醒では15/59人:30%であったのに対し,N1後は20/24人:83%).この効果は深い眠りに入ると消失しました.

以上より,睡眠中には創造的なスイートスポット(creative sleep spot)が存在する可能性が示唆されました.さすがエジソンという感じですが,私も早速,ペットボトルを持って試してみたいと思います.
Sci Adv. 2021 Dec 10;7(50):eabj5866.(doi.org/10.1126/sciadv.abj5866)



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