Neurology 興味を持った「脳神経内科」論文

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私が考える臨床神経学 ―若手脳神経内科医へのメッセージ―

2022年12月27日 | 医学と医療
標題は「脳神経内科」誌(科学評論社)の最新号(Vol 97. No 6)の特集タイトルです.私どもの大先輩の先生方が,若手脳神経内科医のためにご自身のご経験やアドバイスを語ってくださっています.多くの脳神経内科の先生方にお読みいただきたいと思いました.以下,印象深いことばをピックアップします.  

◆私が臨床神経学に対して“憧れ”を抱くのは,臨床神経学という場が,患者さんとの「我と汝」という一期一会の二人称的関係を中心にして成り立っているからなのです(岩田誠先生).

◆人は誰でも歳をとり,病気にかかり,いずれも死に至る.患者の今の姿は,皆さんの将来の姿でもある.患者が人生の先輩であることに敬意を払うべきである(宇高不可思先生).

◆鳥の目のように視野を広く持って全体の俯瞰を心掛ける(bird’s eye-view).見えたものを丹念に見比べ観照する.自分は1度限りの存在であるので自分が納得できることをし続ける(self-discovery, self-respect).オリジナルのことの追求を止めない.自分の井戸を掘り続ける(dig my own well continually).他人の掘った井戸に首を突っ込んで水を飲むのを潔しとしない.他人の批評には努めて,心静かに耳を傾ける(高須俊明先生).

◆患者さんの病状を把握するだけでなく,患者さんの背景,すなわち趣味や生きがい,家族関係や経済状態,病気以外で困っていることなどを知ることです.そうすることで患者さんと医師との間が,単なるコンタクトというレベルではなく,ラポールの段階に進むことができ,より良い人間関係が成立し,必要な場合には適切なアドバイスを提供することが可能になるのではないかと思います(服部孝道先生).

◆筆者の医学生時代に祖父江逸郎教授の神経学の講義の中で先生は教科書の1行の記述の裏には大変な努力があることを強調されていたが,今になってその意味がわかるようになった(若山吉弘先生).

◆現今の卒後教育は,勤務時間制限があり,義務・責務の概念が薄れ,勝手な個人的事情も配慮され,同時に教育スタッフも無理に教え込む事はなくそのため覇気のない平凡な教育に満足しているのが現状である.かかる環境の中で,いかに自身の良医たるべき目標を建て研鑽を積むかはそれぞれ皆さんの考え方次第であろう(廣瀬源二郎先生).







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