テイスティングも佳境を迎えました。いよいよ香りのチェックです。
人間の生存本能のためか、嗅覚というものは、味覚以上に発達し敏感なものらしい。口に入れる前に食べられるものかいなかを嗅ぎ分けるというわけだ。その敏感な嗅覚が判断したワインの香りを言葉にして表さなくてはいけないとなると大変なことだ。チョットしょっぱいとか酸っぱいとか苦いとか味覚なら表現しやすいが、嗅覚に対する表現は難しい。そこで、ソムリエさんたちの表現が使われる。ベリーの香りだのバターの香りだのトリュフの香りだのはたまた馬の小便の香りとか。フランスで使われる表現を日本語に直略して使うからこういうことになるのだろう。そこで身近なものの表現を使う人もある。ぞうきんの臭いだの、自分の靴下の臭いだという輩もある。それは、自分でその場で消える香りの記憶をとどめようとする努力なのですが、他人の前で披露すると、聞かされた人が迷惑することもしばしばだと思う。レストランでは、ほどほどに表現した方がいいかもしれない。「良い香りですね。どう表現したらいいのでしょうか」ぐらいで、ワインの係にその表現を委ねた方がエレガントかもしれません。しかし、ワインにとって香りはとても重要。鼻をつまんでストローでワインを飲むと何を飲んでいるのか解らない。目隠しまですると、赤ワインか白ワインかも解らなくなるものです。その重要な香りをたたせるために、ワインのグラスは内側にカーブし、ワインを口に入れるときに鼻がグラスの中に入り香りを楽しめる設計になっている。そのためにも、大きなグラスに少ししかワインは注がない。めいっぱい注ぐと口をグラスに持って行かなくてはならず、香りは楽しめない。さらに、グラスを回してやることで香りがさらにたつ。このグラスを回すのがかっこ良い。一度回し方を覚えると、やたら回しはじめ、お冷やまで回しはじめる。さて、問題です。グラスは右手に持った時、右回りが良いのでしょうか、左回りがよいのでしょうか。
さて、ワインのテイスティングも山場を迎えます。いよいよ、ワインが注がれます。しかし、チョットだけです。前にも書きましたが、ワインの温度をチェックすれば良いので、いい加減早く飲みたい時は、簡単にチョット口に入れ「結構です」と云って、せめてお客様なり、彼女なり、主賓を指して誰から注いだら良いかを教えてあげて飲み始めましょう。もっとテイスティングを楽しみたい方は、ここで「ささやき作戦第二弾」に入ります。
まずは、色を見ます。少しだけ注がれたワインは、グラスをかなり斜めにしてもこぼれないはずです。グラスを傾け、そのワインの縁の色を見ます。まず、白ワインは縁が緑色のものはフレッシュなワインが多い、黄色っぽい時は樽のかかったワインが多い。「おっ、これは若いワインなのかな」とか「これは樽を使っているのかな」とか、ささやいてみましょう。
赤ワインは縁へ行くほど色が薄くなるものは若く、均等に濃い色のものはフルーティーなもの、褐色がかかっているものは古いワインが多いようです。予め、ビンテージをチェックしておけば、解らなくても色を見て判断したようなフリで、若いか古いかぐらいをささやけば、もう上客扱いになるでしょう。ただ、濁りが見えたときは、品質に問題があるはずです。お金を払うのですから、こういう時は指摘してみましょう。
キザな人やプロは、白いナプキンなどを背景にして色をチェックします。壁が白ければ、それを使うのも良いでしょう。しかし、そこまでやると、サービス係はあまりそのテーブルには近づかなくなり、遠くから監視される恐れもあります。さあ、やっと飲めるかというと、まだまだ次は香りのチェックです。さて、その話はまた次回。
テイスティングでのテクニックの話はつづきます。
ボトルの形を見てのささやき作戦を終え、次はワインのコルクのチェックです。あまりささやいてばかりいると、気持ち悪く見られる危険があるので、次のささやき作戦の前にここでは、無言のプレッシャー作戦に出ます。ついにワインは抜栓されてしまったので、前にも書いたようにもう支払い義務が発生しています。強気でワインの品質チェックに臨みましょう。その姿勢が伝わると、上客扱いを受けるチャンスが広がります。
さて、抜栓されたコルクをテーブルの中央、またはテイスティングをお願いされるホストのところにソムリエはおもむろに置きます。開けたワインはもう全部飲むつもりなのだから、もう使わないであろう不要のコルク栓を置いていくなと思ってはいけません。このコルクには、色々と意味があります。
まず、コルクを置いたのは、上手に栓を抜けましたという係の喜びがあります。たまに失敗すると、持ってこないこともあります。その時は、少し大目にみる余裕も必要でしょう。ちゃんと開けたのに、持ってこない店は、ちょっとワインについては信頼できない可能性があります。
次に、このコルクに色々と焼き印で書かれているものを見てあげてください。ワインの名前と生産者名らしきものとビンテージ(年号)などが書かれています。たくさん書いてあると値段の高いワインの可能性が高くなります。特にビンテージがあるものは高級ワインの場合、必ず入っています。高いワインを注文してビンテージがなかったら、かなり心配な事態となります。
そして、コルクの長さも見てみましょう。長いコルクは、長期熟成させるワインのために長くなっているので、その間の金利も加わり価格の高いワインになります。コルクの長さは価格に反映するということです。普段飲んでいるワインより長いコルクをテーブルに置かれたら支払いの覚悟もしましょう。
さて、無言のプレッシャーの出番です。せっかく持ってきたコルクです。さわってみましょう。均一に湿り気があり弾力があるかをチェックします。ワインを横に寝かせてちゃんと保管してあるものは、均一に湿っているものです。立てて置いて暫く売れないワインはコルクが乾いてぽろぽろになっている可能性があります。その辺を無言でチェックするとかなりのプレッシャーを店側にかけることになります。
クンクンとコルクの臭いまでチェックするのは、やりすぎな気はします。もっと強気でチェックしたい時は、それも良いかもしれません。
今は、合成コルクも多く高級ワインには使われませんが、合成コルクがイコール悪いワインではありません。合成コルクでも美味しいものが多いものです。しかし合成コルクでは無言のプレッシャー作戦は使えません。まだまだ作戦があるので、合成コルクでもがっかりしないでください。次のブログを期待しましょう。
昨日のクアトロは激ヒマ。お客さんはどこへ行ってしまったのだろう。
今日は、クアトロの休日。TX柏の葉キャンパス駅に今日オープンの「ららぽーと柏の葉」へ早速出かけてきた。すごい人出でした。昨日もプレ・オープンで夕方までやっていたらしい。もちろん、飲食店を覗いてきました。どこも昼時すごい行列。中央のスペイン広場のような階段の広場はいい雰囲気でした。まあるく、回れるフロアの配置も眺めやすいもので、よく工夫されています。ウロウロと歩いていると、どこかでお会いしたようなお顔の方が多い気がしてきました。地元なのだから当然ではあります。店も他のショッピング・センターにも同じのがあったなと思えます。
誰もが思うことらしいのですが、世界中に何億という人は本当にいるのだろうか、回りの人達が自分より先回りして、違う人を演じているのではないだろうか。ジム・キャリーの「トゥルーマン・ショー」を思い出す。お店も、他から持ってきて並べ替えただけではないだろうか。昨日、クアトロにお客さんが来なかったのも、ここへエキストラに動員されていたんじゃないのだろうか。
さて、昨日のブログのつづきです。
テイスティングが難しいものでは無いと解って頂いたとして、さらにテクニックを身につけるとさらにテイスティングが楽しくなり、はては上客待遇を受けるチャンスも芽生えます。まず、そのひとつとして、クアトロの父がよくお客様に伝授するもののひとつに「ささやき作戦」があります。
その第一弾。選んだワインを持ってきたときに、そのワインのボトルの形をチェックします。ラベルを読むとそのワインの身元や味わいまで推察がつくようになってはいるのですが、これは中々の知識が必要。ボトルの形なら簡単に覚えられます。それは、写真左のようないかり肩のビンは、フランス・ボルドー・タイプのワイン。右のなで肩で胴の太いものは、フランス・ブルゴーニュ・タイプ。さらに、細いなで肩のビンはドイツ・ワイン。もちろん、それ以外の形のビンも色々あります。やはり、ワインはフランス・ワインが主流で、ボルドーとブルゴーニュは双璧を成しています。他の国でワインを作っても、ボルドー・タイプのワインを作ればいかり肩のビンに、ブルゴーニュ・タイプのワインを作れば、なで肩胴太のビンを使うのが一般的です。甘口のドイツ・スタイルのワインは細いビンに、これらの分類に入らないものや、入りたいと思わない作り手のワインは変わった形のビンを使うようです。それでは、ボルドー・タイプはどんな味といっても、それを覚えるのも大変です。それは、いずれ飲みながら覚えていくとして、とりあえずビンの形を覚えましょう。
さて、ささやき作戦ですが、テイスティングの始めにワインを見せに来たら、ここでささやきます。「おっ、これはボルドー・タイプのワインか」とか、「ブルゴーニュ・タイプなんだ」「ドイツ・ワイン・タイプだから、少し甘口なんだな」とかいった具合です。これ以外の形のビンのときは「・・・」黙っていましょう。次のささやき作戦に勝負を賭けます。
これを聞きつけた店側は、がぜんそのお客様に注目するはずです。これは、上客かもしれないと。すると、色々そのお店の特別情報を引き出すチャンスが芽生えます。クアトロの父もその辺を聞きつけると目を輝かすのです。さて、つぎの「ささやき作戦」はまた次回。