1960年代、YAMAHA YA1から発展してきた2スト125ccのバイク。
私が高校生の時の最初のバイクです。
これは、よく走るバイクで、たいていの場合、国道で出会うレース相手はHONDAのベンリィ125ですが、負けたことがありませんでした。
レーサー仕様などに改造するのが流行っていましたが、最後までノーマルのままでした。
YA5は世界で初めてのロータリーディスクバルブを装着した二輪車となった。従来の3ポート方式で高出力を得ようとすると、どうしても低速での性能が犠牲になったが、ロータリーディスクバルブを装着したYA5は高出力を可能にしながら低速域での性能も著しく向上させることができたのである。
フレームはエンジンを吊る一本のダウンチューブが追加され、タンクは丸くなり両サイドはクロームメッキにYAMAHAのロゴが浮き出したきらびやかなものになった。 全高を低く見せるためにヘッドライトの位置は790mmまで下げられ、テレスコピックフォークの採用とともに低く構えたデザインが強調された。
ヘッドライトナセルは125ccの車格に合わせて小柄なもので、配線をその中に収めるためにスピードメーターは上に突き出た独特のものとなり、メーターやスイッチを保護する小さなマスコット風防がその前に立てられた。
ロータリーディスクバルブの場合、キャブレターがクランクサイドにつくために、クランクケースの幅が広くなるのは避けられず、ヤマハもキャブレターとエアクリーナーの処理に苦慮するが、それを逆手にとってのデザインでYA5のパワーユニットの周りは通常のエンジンとまるで違う簡潔さを見せるものとなった。 YA5がデビューしたときに、”キャブレターはどこにある?”と聞かれたエピソードは、後々までの語りぐさになった。
YA5はチョークやティクラを不要とするスターターレバーを備えた最初の車でもあった。 スロットルを閉じてスターターレバーをひけば、濃い混合気が送られて、始動性は大いに向上したのである。
YA5の加速は、他の125ccモデルより格段に速く、0~400を20.3秒で走りきった。最高速度もカタログの100km/hを超えてもまだ上がっていた。
そういった高性能にもかかわらず、トップギヤ20km/hで走り続けることもできた。 この場合のエンジン回転数は4,000で、ここからの加速もロータリーディスクバルブならではのものがあった。
車重は初代のYA1より20Kgも重くなったが、どこからでも吹き上がるYA5の特性は技術の進歩の早さを痛感させながら、多くのユーザーを急速につかんで、MF1とSC1の失敗で苦境に立ったヤマハがYG1というヒット作で立ち直るまで、ヤマハの屋台骨を支える重要な役割を果たした。
ヤマハはYA5をあくまでも実用車として考え、そのためにヤマハとして初めてのロータリー4速をYA5は装着した。 待ち乗りや商用に適したロータリーチェンジを好まないユーザーと輸出用のために部品の交換だけでリターン4速に代えることができるYA5は、スポーティなロングシートを付けられたり、改装されてモトクロスで活躍したり、多くのバリエーションがユーザーの手で作られた。
地味な外観に似合わない戦闘力の高さが、YA5のもっとも魅力的な点だったのである。
全長:1870mm 全幅:680 全高:955 車重:110kg エンジン:2ストローク単気筒ロータリーディスクバルブ ボアストローク:56×50 圧縮比:6.75 最大出力:10ps/6500rpm 最大トルク:1.2kg/4500rpm 排気量:123cc 潤滑方式:混合 クラッチ:湿式多板 変速機:ロータリー4速 変速比:①2.966②1.796③1.29④1.000 始動方式:セル・キック 登坂能力:20° 最高速度:110km/h タンク容量:9リットル 懸架装置:前・テレスコピック 後・スイングアーム タイヤ:前後とも3.00-16 市販価格:130.000円
引用: AUTOBIKE GRAFFITI ジャパニーズ・バイク・ヒストリー CBSソニー出版