『発見』と題された作品、女体は、板の木目模様に浸食されつつある。バックは陰鬱な暗色…異世界、黄泉の国かもしれない。
板の木目・・・これは年輪、年月の経過の暗喩である。
女の裸体が木目に変換されていく、とりもなおさず時間の経過であり、時空への変移ではないか。明らかに肉体を持った女人が時空の狭間に消えていく。つまりは「死」への移行。
紅をさした風にも見える女盛りの女人。眼を見開いてはいるが、口は閉ざし、顔はうつむき加減に傾げ、眼差しは憂いを含んでいる。
手を腰に当てたポーズは今にも頽れそうになる自分を支えているようである。しかし、何ら隠すべきものはないと自身を晒して証明しているようにも見える。
成熟の年代、けれど現今、異世界への移行を免れない状況にある不条理。触れることも可能だった肉体が木目に象徴される時空の彼方へと変換されていく。
死は異世界への誘いであり、時空の刻印を押された肉体の物言えぬ別れである。
『発見』は静かなる慟哭をもって知らされた惜別の衝撃ではないか。目の前にいた人が永遠に交わることのない時空へと消えていく。死における発見、激しく悲壮な発見は、生涯を貫き、忘れえぬ発見として胸に刻まれたのではと推測する。
(写真は国立新美術館『マグリット展』図録より)
板の木目・・・これは年輪、年月の経過の暗喩である。
女の裸体が木目に変換されていく、とりもなおさず時間の経過であり、時空への変移ではないか。明らかに肉体を持った女人が時空の狭間に消えていく。つまりは「死」への移行。
紅をさした風にも見える女盛りの女人。眼を見開いてはいるが、口は閉ざし、顔はうつむき加減に傾げ、眼差しは憂いを含んでいる。
手を腰に当てたポーズは今にも頽れそうになる自分を支えているようである。しかし、何ら隠すべきものはないと自身を晒して証明しているようにも見える。
成熟の年代、けれど現今、異世界への移行を免れない状況にある不条理。触れることも可能だった肉体が木目に象徴される時空の彼方へと変換されていく。
死は異世界への誘いであり、時空の刻印を押された肉体の物言えぬ別れである。
『発見』は静かなる慟哭をもって知らされた惜別の衝撃ではないか。目の前にいた人が永遠に交わることのない時空へと消えていく。死における発見、激しく悲壮な発見は、生涯を貫き、忘れえぬ発見として胸に刻まれたのではと推測する。
(写真は国立新美術館『マグリット展』図録より)