続・浜田節子の記録

書いておくべきことをひたすら書いていく小さなわたしの記録。

マグリット『恋人たちの散歩道』

2015-08-16 06:27:12 | 美術ノート
 暗い空に灯りのない建物、それを被うかの葉の茂った樹木。
 空は暗いというより漆黒の闇である。家々の窓明かりは一つも点いていない。深夜なのだろうか・・・深夜に恋人たちは散歩をするだろうか。不用心だし危険である。散歩というものは早朝や夕刻にしろ、自然光の中を歩くことを指すのではないか。

 それに第一、道がない。歩くであろう道が描かれていないのに散歩道とは?

 恋人たちと言うのは、未来を夢見て愛し合う二人を言う。この額縁の中の青空が指標なのだろうか。

 暗中模索、見えない世界の中で道を探索、手探りで拓いて行く。


 この深い闇は何を意味するのだろう。社会制度の束縛あるいは歪みだろうか。(あの例の三日月がないということは、現実かもしれない)
 二つの額縁には少し樹木の緑がかかっている。(自然との融合?)
 二つの青空を内包した額縁は人家より少々高い位置に掲げられているが、全体からみると決して高いわけでなく、むしろ暗黒に圧迫されているようにも見える微妙な位置関係である。


『恋人たちの散歩道』
 現今は決して明るくないが、雲の散在する青空(大いなる自由)を指標に進んでいく道がある。世代を築いていく道は、今を乗り越えたところに必ずあると信じたい。無作為に選ぶ道に、思いがけない景色を発見するかもしれないのだから。

「道なき道・・・それが若い恋人たちの散歩道なのだ」とマグリットは背中を押している。


(写真は国立新美術館『マグリット展』図録より)

『銀河鉄道の夜』49。

2015-08-16 06:07:15 | 宮沢賢治
「あゝだけどねえ、お父さんは漁へ出てゐないかもしれない。」
「きっと出てゐるよ。お父さんが監獄へ入るやうなそんな悪いことをしたはずがないんだ。


☆普(あまねく)両(二つ)を推しはかる。
 推しはかって換(入れ替える)語句は新たに和(調合し)括(一つにまとめる)。

『城』2054。

2015-08-16 05:57:08 | カフカ覚書
そこで、Kは、シャベルを雪の中に突き立てて、走っていった。息をきらせてバルナバスの家に着くと、ちょっとノックしてからドアをあけるなり、部屋のなかの様子など気にもとめないで「バルナバスは、まだ帰っていませんか」とたずねた。


☆そこで、Kは馬鹿話をするさもしい(卑しい)奴とぶつかり進んでいった。息を切らせてバルナバス(北極星=死の入口)につくと、彼の一族に出会い、小舟の戸をたたき企てをあけるなり階級のことなど気にもとめずに「バルナバス(死の入口)は、常に出現していないのですか」とたずねた。