続・浜田節子の記録

書いておくべきことをひたすら書いていく小さなわたしの記録。

マグリット『流行のパノラマ』

2015-08-20 06:41:01 | 美術ノート
 パノラマというのは写真を半円形に広げ、立体的なものを前景にした広角の景色であり、実景を錯覚させるものだと解釈している。

 この作品における『流行のパノラマ』とは何だろう。流行の意味…一時的に世間に広まり受け入れられること、あるいは、時とともに移り変わって新しくなること。
 ではこの三層に分かれた景色の意味は?

 上から海、林、住宅・・・。
 エベレストが海の底にあったという話があり、貝が埋もれていることでも証明されている。だから、海の上に林、林の上に住宅なら、何となく納得できる。しかし、物理的変化ではなく精神的変化をイメージしたのであれば逆も有りうるかもしれない。要するに現実の回転した虚構である。

 ポンペイの古代遺跡、マチュピチュの空中都市、現実は空想を越え、驚異である。

 世界は物理的にも層になっている。むしろ空想はそれを受け入れがたくさえしている。海の底に林が眠り、林の底に人々の暮らしが眠っていると考えることに不可解を介入させることは、単に観念的に過ぎないかもしれない。


 海の底…人魚の話、竜宮城は伝承の昔話であるけれど、現今のわたし達の世界/生活がいつの日か、林の底になり、やがては海の底深く沈み込む日がないとは限らない。

 未来…超未来において、未来人がわたし達を海の底に発見するかもしれない。
 年代層の隔絶・・・流行は常にわたし達の前を行く。パノラマは横広がりではなく、垂直に下降した世界をも実写のごとく映し出す最新技術として夢想してみるのも一興。

 マグリットの時間の飛躍・・・わたしは、マグリット作品の素直な鑑賞者でありたい。


(写真は㈱東京美術『マグリット』より)

『銀河鉄道の夜』53。

2015-08-20 06:25:37 | 宮沢賢治
「うん、けれどもカンパネルラなんか決して云はない。カンパネルラはみんながそんなことを云ふときは気の毒さうにしてゐるよ。」
「あの人はうちのお父さんとはちゃうどおもへたちのやうに小さいときからのお友達dったさうだよ。」


☆結(物事の締めくくり)の薀(奥義)、運(めぐりあわせ)の奇(不思議)は、独(ひとりだけの)図りごとである。
 普く照(あまねく光が当たる=平等)の幽(死者の世界)の達(意向を伝える)である。

『城』2058。

2015-08-20 06:18:56 | カフカ覚書
Kは、彼女に、おどろいて腰をあげた両親が歩いたりなどしないようにしてほしい、と頼んだ。すると、アマーリアは、ふた言三言両親に言って、引きとめた。


☆Kは、昔の人を恐れて、なにか移動したりするのを防ぐように頼んだ。城で泊まるようなことは一度もないから、ということだった。