続・浜田節子の記録

書いておくべきことをひたすら書いていく小さなわたしの記録。

若林奮1-2-1残り元素Ⅰ

2015-08-29 06:53:11 | 美術ノート
 不完全な人体、手がなく膝から下の足もない。本来この位置に留まっていられる姿勢でもない。背後には得体のしれない機械めいたものがある。小さな煙突のような物は、まさに何か蒸気を噴出させることを想起させる。引けば発信される動きを生じるのかもしれないハンドル。

 しかし、すべてが不完全である。
 決定的な集合体ではない、説明が不足しているのである。
『残り元素』という意味不明な題名。これ以上の分割は不能な要素である元素に、「残り」という修飾語を被せることに奇妙な違和感を抱く。

 万物の根源である元素に残りがある?(現今、周期表には空きがない)

 この台座の高さ、構成上の隙間から、この二つの物体は今しも落ちそうである。ひどく危うい。というか、すでに落下していても不思議でない人体、そして器械(これはもしかしたら、地上の変容、大地であり、噴出孔は火山を暗示しているのかのしれない)から滑り落ちてしまった人体、人体は二つの可能性を有している。

 
 この不安定な胸をえぐる様な重い危機感…これ以上分割できない元素というのは、物理的問題ではなく、精神的な範疇における残り元素である。喜怒哀楽のような、表現可能な状態ではなく、言うに言われぬ『零れ落ちそうな危機感を孕んだ深淵』この精神の底の底に『残り元素』があると作家は提示しているのではないか。

 若林奮という作家は、怖いほどに深い。


(写真は神奈川県立近代美術館/葉山『若林奮』展・図録より)

『銀河鉄道の夜』62。

2015-08-29 06:21:44 | 宮沢賢治
 坂の下に大きな一つの街燈が、青白く立派に光って立ってゐました。


☆半(二つに分けた一方)は解(バラバラに離れる)。
 題(テーマ)には逸(隠れている)我意がある。
 当(あたりまえ)の照(あまねく光が当たる=平等)を吐く。
 律(物の基準となるきまり)を把(手につかむ)講(はなし)は、流(一か所にとどまらない/形を成さないで終わる)。

『城」2067。

2015-08-29 06:10:41 | カフカ覚書
あんたは、この村の出ですか。ここで生まれたんですか」
 アマーリアは、最後の質問だけをたずねられたかのように、そのとおりです、と答えてから、「じゃ、やっぱりオルガを待っていらっしゃるのね」


☆拘束の現在、いったい何が問題なんでしょう。一族はこの来世の出ですか、ここで生まれたのですか。アマーリア(作り話/マリア)はうなずいた。ただ最後の質問に答えて、つまりそれでもオルガ(機関/仲介者)を待っているんですね。