「一ぺん郷国へ帰りましてね、あすこも陰気でいやだから今度はこっちへきたんです。」
☆逸(隠れた)教(神仏のおしえ)を告げる記である。
隠した記の渾(すべて)は、図りごとを頼りにしている。
『占い』
占いとは、何かを手掛かりにして相対的に事象を予期し告げることである。(例えば地上と天空/星の運行)
統計学的なデータの集積から未来を予想するが、物理的根拠のないものを総じて占いと呼ぶのではないか。つまり心理学の領域である。
作品においては巨大な鼻が地上に鎮座している図であるが、背後にはあの怪奇な不条理そのものの一葉が樹の態で控えている。ずっと向こうには海(水平線=真理)が見え、船や対岸も見えるようである。ごく普通の風景に見える異常な光景は、屋内から覗く景色であり、人の観察眼である。
(鼻で笑う)というのは万国共通の感情であれば、『占い』というタイトルは冷めた感情の提示に他ならない。占いに対する疑惑である。
人間の身体の一部である鼻のみが身体から切り離され自立するなどということは論外、笑止の事象である。景色が過小なのか鼻が膨大なのかは分からないが、虚構であることは間違いない。
占いそのものは空書(虚言)であるが、しかし必ずしも偽りではなく、データの集積に基づく真理を言い当ていることもまた事実ではないかと・・・。
(写真は国立新美術館『マグリット』展/図録より
さあはつきり眼をあいてたれにも見え
明確に物理学の法則にしたがふ
☆願いを兼ねた冥(死後の世界)を書く。
仏の理(宇宙の根本原理)を学ぶ法(神仏の教え)の則(道理)である。
ああ、あなたがそばにいてくださることがどんなに必要かしら。あなたを知ってかあは、そばにいてくださらないと、どんなにさびしい思いになったことでしょう。あなたのおそばにいるということ、それがわたしのただひとつの夢なの。ほんとうよ。ほかに夢なんかありませんわ」
☆あなたがすぐ近くにいることが当たり前になり、それ以来離れないでいることが、わたしの唯一の希望だと信じている。他に希望はない。