続・浜田節子の記録

書いておくべきことをひたすら書いていく小さなわたしの記録。

デュシャン『秘められたる音』⑤

2020-04-07 07:02:06 | 美術ノート

『秘められたる音』である。秘めた、ではなく・・・秘められたる、は微妙である。主観ではなく客観的に眺めているという態であり、自主的な行為〈わたくしが〉という主語が欠落している。
 もちろん、わたくし(デュシャン)が意図して作ったに違いないのだが、突き放して傍観している。

 これは《わたくし》であり《世界》なのだ。『秘められたる音』の正体はデュシャン自身であり、森閑とした宇宙でさえある。この封じ込められた中を狭小という観点で見つめるのは観念としての約束にすぎない。

 見えないもの、聞こえないものへの冒涜でもある。見えないもの、聞こえないものは無限に広く神聖であり本来、捉え難いものである。

『秘められたる音』は世界への信奉であり、自身との共存関係を暗示している。『秘められたる音』の観点は《無と有》の巡回を図ったものである。

 写真は『DUCHAMP』(ジャニス・ミンク) www.taschen.comより


『忘れえぬ人々』123.

2020-04-07 06:42:05 | 国木田独歩

「僕は壮漢の後影をじっと見送って、そして阿蘇の噴煙を見あげた。『忘れ得ぬ人々』の一人は即ちこの壮漢である。


☆目(観点)は双(二つ)を換(入れ替えること)である。
 語(言葉)を営(つくる)と現れる。
 総ては吾(わたくし)の祖である。
 奮(勇み立って)演(述べる)件(ことがら)である。


『城』3393。

2020-04-07 06:21:08 | カフカ覚書

「わたしは、あなたを見ているんじゃありません。お召し物を拝見しているのです」
「なぜまたわたしの服を見なくちゃならないのです」
 Kは、肩をすくめた。
「行きましょう」と、お内儀は、亭主をうながした。「下司ったらありゃしない!この人は酔っぱらっているんだわ。


☆「わたしはあなたを見ていません。あなたの勢力を見ているのです」
「なぜわたしの勢力を?」主人は興奮して聞いた。Kは肩をすくめた。
「行きましょう」と、女主人は主人に言った。彼は酔った無作法な奴ですよ。