デュシャン『泉』⑤

『泉』を識別するのは理性である。理性を失えば目的用途が不明瞭になり、この物の本質を理解することができない。
　泉と称した小便器に正しく反応するのは理性であり、感性ではない。理性的判断を下せるのは人間だけであり、他の動物にこの『泉』を見せても無反応に違いない。
　熟考を要するものでもなく《直感》、即決定する対象物である。論理的な識別ではあるが習慣によるデータの集積による判断である。

　排泄に使用される小便器は男子専用であり、女子には不要である。身体的機能の問題であり差別であるが上下を意味するものではない。上品か下品の分類には適合しないが隠蔽を余儀なくされるものであり、隠すべきものという観察が揃って一致するものである。

　これらは全て瞬時に判断がつく条項である。『泉』（小便器）という対象物の所有する情報（概念）は周知のことであり、羞恥心ゆえに遮蔽されたエリアに置くべきということも常識である。

　通念の中の《男》、それは置換されるべき術もなく、決定なのである。しかし、その決定は秘められたるものであり、露呈は人心を脅かす神秘的なリアルである。
　

　写真は『DUCHAMP』(ジャニス・ミンク）　www.taschen.comより

『忘れえぬ人々』128．

叫ぶもの呼ぶもの、笑声嬉々として此処に起れば、歓呼駑馬乱れて彼処に湧くという有様で、売るもの買うもの、老若男女、何れも忙しそうに面白そうに嬉しそうに、駈けたり追ったりしている。


☆教（神仏のおしえ）の個（一つ一つ）の章を省（注意して見る）奇（珍しい）記である。
　詞（言葉）は諸（もろもろ）の記に換（入れ替わる）。
　個（一つ一つ）に努（力を尽くし）場を覧（よく見ると）秘（人に見せないように隠している）法（神仏の教え）がある。
　幽（死後の世界）と融（心が通じる）要（かなめ）の媒（なかだち）と倍（多くする）。
　弄（思いのままにする）二役の談（話）を叙（述べる）。
　化（教え導く）謀（図りごと）は綿（細く長く続く）と吐く。
　記の句（言葉）は対である。

『城』３３９８。

最後に、フリーダも、ここへ来て、しばらくあなたのそばに立っていたそうです。でも、あの人は、あなたのために来たのじゃなく、ここでいろいろごしらえをしに来たのです。と言いますのは、あの人は、今晩からもとの職場にかえり咲くのです。


☆終いには、フリーダも現れ、Kを長く見つめ立っていました。しかし、Kのために来たのじゃなくて、ここで別の準備のために来たのです。あの人は再び昔からの礼拝を始めました。