続・浜田節子の記録

書いておくべきことをひたすら書いていく小さなわたしの記録。

デュシャン『旅行者用折り畳み品』②

2020-04-16 07:00:36 | 美術ノート

 旅行者、荷は少しでも軽量を心掛けることは肝心である。そのための折り畳み品であるというUnderwoodという名の入ったカバー。Underwoodといえばタイプライターを想起させるものに違いないが、果たして中にタイプライターは入っているのだろうか。タイプライターは折り畳めない、と思う。
『タイプライター』ではなく『旅行者用折り畳み品』である。

 記録するに要るタイプライターが必須である旅行者もいるには違いないが、たとえ小型でも…疑問が残る。しかし、「折り畳み品」であると明記している。折り畳めないものを折り畳み品と言っているが、確かにカバーだけなら折り畳み品であることに納得がいく。必要不可欠な物だけを持つであろう旅行者の「折り畳み品」は正しく折り畳み可能のカバーだけだとしたら、たとえ折り畳めても無用の長物である。

 カバーの中は見えない。見えない不確かな対象(目的)を旅のお供にする。「ある」が「なく」、「ない」が「ある」ものである。
 
 この空虚に隠れた真理、それを求める旅行に携帯する『旅行者用折り畳み品』である。


 写真は『DUCHAMP』(ジャニス・ミンク) www.taschen.com


『城』3400。

2020-04-16 06:19:22 | カフカ覚書

彼女は、おなじ苦労仲間のようにKに話かけ、Kがコーヒーを飲んでみて、甘さが足りないとおもっているらしいとわかると、すぐ走っていって砂糖のいっぱいはいった壺をもってきてくれた。


☆彼女は苦労を共にした人のようにKに話し、旅行鞄を必要としたが、全然楽しくないとわかると、続けて完全にあっという間に眠りに落ちた。