続・浜田節子の記録

書いておくべきことをひたすら書いていく小さなわたしの記録。

『ポラーノの広場』429。

2014-08-21 06:23:56 | 宮沢賢治
その甘ったるい夕方の夢のなかでわたくしはまだあの茶いろななめらかな昆布の干されたイーハトーヴォの岩礁のあいだを小舟に乗って漕ぎまはってゐました。


☆換(入れ替えたり)析(分けたりする)法(やり方)は、謀(計画)である。
 詐(作り事)を混ぜ、普く換(入れ替える)ことをお願いする章(文章)である。
 週(ひとまわりするもの)は、常に双(二つ)ある。

『城』1716。

2014-08-21 06:13:21 | カフカ覚書
「そうすれば、われわれは、すっかり安心できて、おくればせながら授業をはじめられますからね。さあ、ぐずぐずしていないで!」
「いや、ここを一歩も動きませんよ」と、Kは言った。


☆「そうすれば、先祖も安心して死んでいくことを教えられるでしょう。つまり、即座にね」
 「いいえ、ここを一歩も動きませんよ」と、Kは言った。

気のゆるみ。

2014-08-20 06:37:30 | 日常
 気がゆるんでいる。
(いつの間に夏になったの? 去年の夏からもう今年の夏になっているなんて、この速さについていけないわ)

 一週間もあっという間・・・こんな風にあっという間もあらばこそって感じで現世にさよならする日を迎えるわけね。

 気がゆるんでいるので、めくるめく月日の移り変わりをただ呆然と眺め、今さらのように驚いている。日々への緊張感に欠けている、感謝の念も曇りガラスで見え難い。

 颯爽とした気持ち、刻々と過ぎて行く時間に愛着を持って競合するような胸の高まりに包まれたなら・・・と、夢想する。
 肱をついて無用なことばかり考えているわたし。
(考える前に、家の中の徹底掃除でも敢行したらどうなの!)と、囁くものがいる。
「掃除なんかしている暇はなかったわ、作品作りに夢中で、だから暮れの大掃除はやらないわけにはいかないの」と言った友人もいる。

 中途半端にぐずぐずしている内に年齢だけは降り積もる雪のように重く重なってしまった。融けることのない重さに戸惑いながら、何とかしようと焦っているけれど、手立てが見つからない。あまりにも消極的に過ぎた淋しい人生に差し込む光はなく、枯れかけた雑草は振り向かれることもない。

 しかし、《それでいいのだ》という全肯定を自分に下してみると、全ては氷解する。
 気がゆるむという極めて人間的な日常を、《幸福》という言葉で気取って見せればいいのかもしれない。能天気な感想ではあるけれど、気がゆるんでいることを大いに認めて肩の力を抜きたい。

『ポラーノの広場』428。

2014-08-20 06:25:12 | 宮沢賢治
するとやっぱりよほど疲れてゐたと見えてちょっと椅子へかけたと思ったらいつかもうとろとろと睡ってしまってゐました。

 疲れてはヒと読んで、秘。
 見えてはゲンと読んで、現。
 椅子はイ・スと読んで、意、詞。
 睡ってはスイと読んで、推。


☆秘(秘密)が現れる意(考え)を支える詞(言葉)を推しはかる。

『城』1715。

2014-08-20 06:09:03 | カフカ覚書
「まあ、なんという言いがかりでしょう!」と、女教師が言った。
「わたしもあなたとまったく同意見です。ギーザさん」と、教師は言った。「小使いさん、あなたは、こんな卑劣な過失をおかしたのだから、当然ながら即刻解雇です。それ以外に今後どんな罰がくわえられるかは、いまのところ言わないでおきましょう。しあkし、とにかくいますぐ所持品をまとめて、とっとと出ていってもらいましょう。


☆「法外な!」と空虚の中身(現実)は言った。
 「あなたの意見は絶対です、ギーザさん(自由な推測)」と空虚は言った。
 「負債ある者、侮蔑的な過失をおかしたのだから、去らせるべきです。どんな罰になるかはそのままにしておきましょう。しかし、今は直ちに(天空の)宮からは立ち去ってもらいましょう。

ちょこっと読書(村上春樹)②

2014-08-19 06:56:59 | 現代小説
『雨の日の女♯241♯242』

 男は雨の日の訪問者を覗いている。女のアタッシュケースには♯241の番号が貼ってあることが彼女がケースを右手に持ち替え左手でベルを押したときに化粧品会社のマークと共に判明した。(しかし、ここに意味はあるのか) 
 男は二度のベルの音を貝のように身を縮めて聞いているが出ようという意志は皆無。まるで観客ででもあるかのように自分の家を訪ねてきたセールスの女を凝視している。
 四月の四時前、四十代の女・・・緑色のビニール傘、ピンクのスーツ、薄茶色のレインシューズ・・・彩色だけ考えると正しく春の桜である。雨に濡れた桜、満開を過ぎ、散りどころを待ちあぐねているような・・・。
 男は当然の事ながら視線を合わすこともなくただ女が現れたという事実を現象のように描いている。この男は誰とも直接的な関わりを持っていない。少なくとも、この四時前から街灯が灯る時刻までのあいだ・・・独り言で展開していくに過ぎない。

 排他的であるばかりか残虐でもある。積極的な虐待があるわけではないが暴力的な内在がある。
 男はウィスキーをちびりちびりと飲んでいる、しかし泥酔しているわけでもなく、きわめて静かに沈思しているだけである。

 夢の話はおぞましいほどの悪夢である。白い緑色の目をした蛇を石油を撒いて燃やすと、その煙が空気を蝕み、全体蛇になって僕を追いかけてくる。地下鉄に逃げ込んだ僕は巨大な冷凍庫の中のリスの死体をその蛇に投げつけるが届かず、途中で黴の奉仕のように分解して空中にふわふわ舞ったという恐怖・・・そのリスの死体を持った手の感触を覚えているという気味の悪さ。

 手首に青紫色の火傷のある物理の教師の自殺を傍観する僕という過去の存在。

 ♯241の女が再びこの家の前を通るはずだと確信して窓の外を凝視し続ける僕はタクシーから男が下りてくるのを見るが、男はその鋭い眼差しだけを残して反対方向へ消えてしまう。
 
 失踪した女友達のアパートの室内に残された腐ったリンゴ・・・管理人や警察の事務的な処理により部屋は明け渡され、二週間後には新しい住人が何事もなかったような生活が展開されている。人が消えていなくなるというミステリアスな日常の暗い溝。

 ♯241の女が見つめていたハナミズキの枝にはこぼれ落ちる水滴が死んだばかりの魚の歯のように並んでいると僕は感じる。

 玄関を開けて待っていた女は夕闇に包まれ街灯が点く時刻になっても現れることはなかった。
 やがて夜が来たが、彼女は永遠に、永遠に戻ってこない、と僕は思う。(永遠という言葉を放てば永遠に違いないという言葉の威力、永遠の陰には常に刹那が隠れているかもしれない)

 そんな話である。きわめて個人的な妄想は他者との関係が希薄であり、自分の周りの出来事を傍観者のように喜怒哀楽の感情を入れ込むことなく淡々と描いた奇妙なおとぎ話である。(僕の空虚は留まることない)
 題に「♯241♯242」と重ねて書くことで不可思議な余韻を残している。

『ポラーノの広場』427。

2014-08-19 06:36:34 | 宮沢賢治
わたくしもみんなのあとから役所を出て、いままでの通り公衆食堂で食事をして競馬場へ帰って来ました。


☆訳(ある言語を他の言語で言い換える)諸(もろもろ)を、推しはかる。
 二つの講(はなし)が修められている。触(ものにふれて感じる)同(ひとしい)属(なかま)の字を供(差し出す)。
 場(状況)は常に記(書き留めること)に頼ること。

『城』1714。

2014-08-19 06:25:52 | カフカ覚書
ここで、Kは、ちょっと間をおいた。すると、しずまりかえったなかに掛けぶとんのかげでフリーダのすすり泣く声が聞えた。「当然のことですが、いよいよ問題に片をつけなくてはならなくなりました。


☆ここで、Kは先祖を透写してみた。沈黙の後、フリーダ(平和)のすすり泣く声が聞こえた。もちろん問題は純正にしなくてはなりません。

熱中症?

2014-08-18 06:57:31 | 日常
 熱中症というのは、どういう症状を言うのだろう。
 深夜、ひどい寝汗と倦怠感と硬直した感じと、目の奥の鈍痛で目が覚めた。というより何か悪い夢にうなされていたような気もする。自分の身体が動かせない・・・手ぐらいは動くけれどそれっきり、足も背中も布団(床)に張り付いたまま移動できない。目で追った時計は3時、昨夜なら夢遊病者のようにはしゃいでいた時間帯。
 けれど、どうしたのか、一言で言って《具合が悪い》

 立ち上がると倒れるような気がして数段は階段をいざって下り、立ち上がったコーナーからは左右の壁を伝うようにして、ようよう階下の床面に着地。

 しばらくは座り込み、トイレを出たあとは歯を磨いた。通常なら洗った食器類を元に戻したりと多少の片づけをついでに行うのだけれど、その活力ゼロ。
 呼吸を整えて、すごい汗を拭き取り、再び寝床へ。収まることのない汗に驚きながら(ああ、死ぬ時はこんなに苦しいのだろうか)などと暗い妄想で頭を締め付けクラクラ鈍痛のために開けていられない瞼の上を軽くマッサージ。


 目が覚めると5時半、少し開けてある雨戸の隙からはすでに朝の光。

《治った!》
 あの不調は、悪夢に過ぎなかったのだろうか、いえいえ、あれは紛れもなく現実。とすると何を持って回復したのだろう。

 
 30年も前、やっぱり同じような不調に悩まされて病院へ行ったことがある。医師の診断は
「そうですね、これはあなたの体質であって病気ではありません」とのこと、以来30年、ときどきこんな徴候に悩まされているものの、今に至るまで特別の難はない。

 昨夜の不調も、単に体質なのだろうか・・・夏の疲れ・・・熱中症を疑う。
 我慢は美徳ではないかもしれない・・・猛暑の折には貧乏性だから抵抗はあるけれど、エアコンを入れようかな、入れるべきかもしれない。

『ポラーノの広場』426。

2014-08-18 06:45:49 | 宮沢賢治
そしてその日は一日来てゐた荷物をほどいたり机の上にたまってゐた書類を整理したりしているうちにいつか夕方になってしまひました。


☆秘(秘密)が逸(かくれている)。
 比(ならべてくらべる)に頼り、二つの物(事柄)を記している。
 諸(もろもろ)累(次々に重なる)逝(人が死んで)離(別れ別れになる)幽(死者の世界)の法(仏の教え、道、真理)である。