続・浜田節子の記録

書いておくべきことをひたすら書いていく小さなわたしの記録。

🈞マグリット『快楽』

2018-10-29 06:23:58 | 美術ノート

   『快楽』

 純白の縁飾りのついた着衣は、礼装を思わせ、少女の純潔を暗示している。
 しかし、顔を見ると大人の女性であり、少女の無邪気は消えている。

 怖ろしいのはその手でその口で・・・鳥の内臓を食べていることである。そしてその恐怖のシーンを『快楽』と題している。快楽とは、恐怖につながるものなのか?

 処女喪失…少女が女に変わる瞬間の図である。
 鳥が四羽、少女(そして相手の男)の親の化身ではないか。四羽ともそっぽを向いているのに眼差しは少女を見ている。無関心を装っているが、内心の気がかりは隠せない。
 四羽の止まる木は木の質感から離れ、周囲の空気に溶解しそうな体である。つまり、木も鳥も少女を取り巻く精神であり風である。
 今日から少女は大人になります、という神聖な儀式でもある。


(写真は国立新美術館『マグリット』展/図録より)


『耕耘部の時計』52

2018-10-29 06:03:41 | 宮沢賢治

 赤シャツの農夫は炉のそばの土間に燕麦の稈を一束敷いて、その上に足を投げ出して座り、小さな手帳に何か書き込んでゐました。


☆積(つみ重ね)納めた二つが露(現れる)。
 図りごとを兼ねて掩(隠しているもの)を漠(果てしなく広く)看(注意して見る)。
 逸(隠れた)則(きまり)の私記を常に促(うながす)。
 答を推しはかる座(場所)は、衝(重要)である。
 趣(ねらい)は帖(ノート)にあり、化(教え導くこと)の緒(糸口)は個(一つ一つ)にある。


『城』3056。

2018-10-29 05:53:25 | カフカ覚書

でも、K、あなたはいらっしゃらないで。お願いします。あれは、わたしとイェレミーアスとの部屋ですのよ。と言うよりか。むしろわたしだけの部屋です。


☆わたしは願っていますが、でもK、世の中はそうはならない。あれはわたしとイェレミーアスの題(テーマ)です。あるいはむしろわたしだけの問題です。わたしはあなたが関係するのを禁じます。


『やまなし』⑧

2018-10-26 07:09:13 | 宮沢賢治

『クラムボンは死んだよ。』
『クラムボンは殺されたよ。』
『クラムボンは死んでしまったよ…………。』
『殺されたよ。』
『それならなぜ殺された。』兄さんの蟹は、その右側の四本の脚の中の二本を、弟の平べったい頭にのせながら云ひました。


☆詞(言葉)を察(明らかにする)。
 詞(言葉)を察(明らかにする)。
 察(明らかにし)啓(人の目を開いて理解させる)。
 皆(すべて)、幽(死者の世界)の則(道理)の詞(言葉)をほにゃ(形を変えて作り直す)。
 較(比べて)注(書き記)。
 字を翻(作り変える)態(ありさま)は蔽(見えないようにし)套(被って)運(巡らせている)。


🈞マグリット『炎の帰還』②

2018-10-26 06:31:35 | 美術ノート

 炎の帰還・・・タイトルだけ見ると、逆襲あるいは報復を考えるが、男は手にバラを持ち肘をつき手を顎にあてている。戦闘態勢とは真逆である。
 覆面をしているということは、正体を隠しているということであり、誰であってもいい任意(想像上)の人である。
 空中に浮上しているのではないが、街(地上界)を踏破しているのでもない。黒服の着衣に重力を感じさせないのは、精神的な化身としての登場だからかもしれない。

 頬杖を付いているということは留まっているということであり、眼差しは下を向くというより、彼方(未来)を見ている。

『炎の帰還』、シルクハットの魔術師のような男の正体は精神であり風であり、街に再び豊かな活気(愛と平和)をもたらすように送り込まれた使者である。


(写真は国立新美術館『マグリット』展/図録より


『城』3055。

2018-10-26 06:08:12 | カフカ覚書

わたしはおとなしくしとりますで」
「やめて、もうたくさんよ」と、フリーダは言って、イェレミーアスの腕を引っぱった。「この人は熱にうなされて、自分の言っていることもわからないんですわ。


☆でも、どうぞこちらへ。わたしは完全に無言でいますから」「もう十分だわ」と、フリーダは言い、腕を引っぱった。彼は熱に浮かされているので、言っていることが理解できなかった。


『やまなし』⑦

2018-10-25 07:27:59 | 宮沢賢治

 つうと銀のいろの腹をひるがへした、一疋の魚が頭の上を過ぎて行きました。


☆吟じることを復(繰り返す)と、逸(隠れている)庶(もろもろ)の語(言葉)に到る。
 照(あまねく光が当たる=平等)を化(教え導く)講(話)である。


🈞マグリット『炎の帰還』

2018-10-25 06:53:21 | 美術ノート

   『炎の帰還』

 炎は気体であればその大きさを限定できず、それはまた情熱・激情・怒り・闘志の象徴でもある。
 街を足下に見る仮面の紳士は、肘をつきもう一方の手には薔薇を持っている。
 闘う姿勢ではないが、赤い空気(不穏・情熱)に包まれている。

 街に現出した強大な男、しかし非暴力的であり優美を象徴する薔薇を持っている。
『炎の帰還』とある。
 河の流れる街(エッフェル塔やセーヌ川)を活気づける使いかもしれない。薔薇の持つ意味・・・Under the rose (秘密に)この薔薇は愛の象徴というより、秘かな(隠密の)エネルギーの到来である。

 燃えるような活気を取り戻すための熱望(願望)の化身ではないか、夢を再びと。


(写真は国立新美術館『マグリット』展/図録より)