『快楽』
純白の縁飾りのついた着衣は、礼装を思わせ、少女の純潔を暗示している。
しかし、顔を見ると大人の女性であり、少女の無邪気は消えている。
怖ろしいのはその手でその口で・・・鳥の内臓を食べていることである。そしてその恐怖のシーンを『快楽』と題している。快楽とは、恐怖につながるものなのか?
処女喪失…少女が女に変わる瞬間の図である。
鳥が四羽、少女(そして相手の男)の親の化身ではないか。四羽ともそっぽを向いているのに眼差しは少女を見ている。無関心を装っているが、内心の気がかりは隠せない。
四羽の止まる木は木の質感から離れ、周囲の空気に溶解しそうな体である。つまり、木も鳥も少女を取り巻く精神であり風である。
今日から少女は大人になります、という神聖な儀式でもある。
(写真は国立新美術館『マグリット』展/図録より)
赤シャツの農夫は炉のそばの土間に燕麦の稈を一束敷いて、その上に足を投げ出して座り、小さな手帳に何か書き込んでゐました。
☆積(つみ重ね)納めた二つが露(現れる)。
図りごとを兼ねて掩(隠しているもの)を漠(果てしなく広く)看(注意して見る)。
逸(隠れた)則(きまり)の私記を常に促(うながす)。
答を推しはかる座(場所)は、衝(重要)である。
趣(ねらい)は帖(ノート)にあり、化(教え導くこと)の緒(糸口)は個(一つ一つ)にある。
でも、K、あなたはいらっしゃらないで。お願いします。あれは、わたしとイェレミーアスとの部屋ですのよ。と言うよりか。むしろわたしだけの部屋です。
☆わたしは願っていますが、でもK、世の中はそうはならない。あれはわたしとイェレミーアスの題(テーマ)です。あるいはむしろわたしだけの問題です。わたしはあなたが関係するのを禁じます。
『クラムボンは死んだよ。』
『クラムボンは殺されたよ。』
『クラムボンは死んでしまったよ…………。』
『殺されたよ。』
『それならなぜ殺された。』兄さんの蟹は、その右側の四本の脚の中の二本を、弟の平べったい頭にのせながら云ひました。
☆詞(言葉)を察(明らかにする)。
詞(言葉)を察(明らかにする)。
察(明らかにし)啓(人の目を開いて理解させる)。
皆(すべて)、幽(死者の世界)の則(道理)の詞(言葉)をほにゃ(形を変えて作り直す)。
較(比べて)注(書き記)。
字を翻(作り変える)態(ありさま)は蔽(見えないようにし)套(被って)運(巡らせている)。
炎の帰還・・・タイトルだけ見ると、逆襲あるいは報復を考えるが、男は手にバラを持ち肘をつき手を顎にあてている。戦闘態勢とは真逆である。
覆面をしているということは、正体を隠しているということであり、誰であってもいい任意(想像上)の人である。
空中に浮上しているのではないが、街(地上界)を踏破しているのでもない。黒服の着衣に重力を感じさせないのは、精神的な化身としての登場だからかもしれない。
頬杖を付いているということは留まっているということであり、眼差しは下を向くというより、彼方(未来)を見ている。
『炎の帰還』、シルクハットの魔術師のような男の正体は精神であり風であり、街に再び豊かな活気(愛と平和)をもたらすように送り込まれた使者である。
(写真は国立新美術館『マグリット』展/図録より
農夫室には電燈が明るく点き、火はまっ赤に熾りました。
☆納めた二つの質(内容)を伝える。
套(被われた)冥(死後の世界)を展(ひらく)。
化(神仏の教え)を積む詞(言葉)である。
わたしはおとなしくしとりますで」
「やめて、もうたくさんよ」と、フリーダは言って、イェレミーアスの腕を引っぱった。「この人は熱にうなされて、自分の言っていることもわからないんですわ。
☆でも、どうぞこちらへ。わたしは完全に無言でいますから」「もう十分だわ」と、フリーダは言い、腕を引っぱった。彼は熱に浮かされているので、言っていることが理解できなかった。
つうと銀のいろの腹をひるがへした、一疋の魚が頭の上を過ぎて行きました。
☆吟じることを復(繰り返す)と、逸(隠れている)庶(もろもろ)の語(言葉)に到る。
照(あまねく光が当たる=平等)を化(教え導く)講(話)である。
『炎の帰還』
炎は気体であればその大きさを限定できず、それはまた情熱・激情・怒り・闘志の象徴でもある。
街を足下に見る仮面の紳士は、肘をつきもう一方の手には薔薇を持っている。
闘う姿勢ではないが、赤い空気(不穏・情熱)に包まれている。
街に現出した強大な男、しかし非暴力的であり優美を象徴する薔薇を持っている。
『炎の帰還』とある。
河の流れる街(エッフェル塔やセーヌ川)を活気づける使いかもしれない。薔薇の持つ意味・・・Under the rose (秘密に)この薔薇は愛の象徴というより、秘かな(隠密の)エネルギーの到来である。
燃えるような活気を取り戻すための熱望(願望)の化身ではないか、夢を再びと。
(写真は国立新美術館『マグリット』展/図録より)
四、
日暮れからすっかり雪になりました。
外ではちらちらちらちr雪が降っています。
☆化(教え導く)簿(ノート)の説(話)は、我意を接(つなぐ)講(話)である。