4月5日のNY為替市場では、対ユーロでドルが引き続き売られ、1ユーロ=1.2304ドルで取引された。ドルは対円では小動きに終始し、1ドル=117.30円で取引された。ユーロの対ドルでの上昇を受けて、円は対ユーロで大幅円安が進み、1ユーロ=144.34円で取引された。
WSJ紙電子版(4月5日)によると、Richmond連銀理事のThomas Hoenig氏の、「2004年6月から始った米国の利上げキャンペーンが終わりに近づいているかもしれない(may be close to ending a campaign)」との発言にドル相場が敏感に反応したと報じている。
ドルが売られた背景には、3月の米製造業(ISM)指数が、2月の56.7が55.2へ低下したことも影響したのではないかとの指摘もある。米国景気に先行き不安が芽生えている。
4月4日、NY為替市場で流れたニュースとして、外国の中央銀行が保有外貨をドルからユーロにウエートシフトするとの発言が、ドルが対ユーロで売られやすい地合いを作っているとする見方が多いようだ。
WSJ紙によれば、中国要人が段階的にドル建て資産を他通貨建てにシフトすると発言した香港情報、カタール中央銀行総裁が外貨ポジションのうちユーロを40%まで引き上げる用意があるとの発言、さらに先週、UAE(アラブ首長国連邦)が、手持ち外貨の10%をユーロに切り替えるとの発言が相次いだこともドル売り・ユーロ買いを刺激したのではないかと指摘している。
俗説によれば、米国の対イラク戦争は、NYテロ攻撃の報復ではなく、フセイン元イラク大統領が原油支払いをユーロに切り替えると発言したことがブッシュ大統領を激怒させたことが引き金になったとまことしやかに伝えられるほど、産油国の一連のユーロ・シフト発言に必要以上にマーケットも神経質に反応するのかもしれない。
ただ、産油国がドルの目減りを防ぐために原油相場を引き上げたという見方も十分理解できる。ドルからユーロへシフトする動きはいまやサウジアラビアと肩を並べる世界ナンバーワン原油生産国ロシアも同じ流れであろう。強い通貨に乗るのは相場の定石だからだ。
ユーロ買いの背景には、①欧州の景気が底を打ち回復しつつある、②ECB(欧州中央銀行)が再利上げするとの思惑も影響しているようだ。米国で利上げ打ち止め観測が強まり、欧州が利上げなら欧米間の金利差縮少でユーロが買われやすいのは自然の流れだろう。
為替の世界では、ここしばらくは、ユーロが主役を演じる舞台が続きそうだ。(了)
江嵜企画代表・Ken
WSJ紙電子版(4月5日)によると、Richmond連銀理事のThomas Hoenig氏の、「2004年6月から始った米国の利上げキャンペーンが終わりに近づいているかもしれない(may be close to ending a campaign)」との発言にドル相場が敏感に反応したと報じている。
ドルが売られた背景には、3月の米製造業(ISM)指数が、2月の56.7が55.2へ低下したことも影響したのではないかとの指摘もある。米国景気に先行き不安が芽生えている。
4月4日、NY為替市場で流れたニュースとして、外国の中央銀行が保有外貨をドルからユーロにウエートシフトするとの発言が、ドルが対ユーロで売られやすい地合いを作っているとする見方が多いようだ。
WSJ紙によれば、中国要人が段階的にドル建て資産を他通貨建てにシフトすると発言した香港情報、カタール中央銀行総裁が外貨ポジションのうちユーロを40%まで引き上げる用意があるとの発言、さらに先週、UAE(アラブ首長国連邦)が、手持ち外貨の10%をユーロに切り替えるとの発言が相次いだこともドル売り・ユーロ買いを刺激したのではないかと指摘している。
俗説によれば、米国の対イラク戦争は、NYテロ攻撃の報復ではなく、フセイン元イラク大統領が原油支払いをユーロに切り替えると発言したことがブッシュ大統領を激怒させたことが引き金になったとまことしやかに伝えられるほど、産油国の一連のユーロ・シフト発言に必要以上にマーケットも神経質に反応するのかもしれない。
ただ、産油国がドルの目減りを防ぐために原油相場を引き上げたという見方も十分理解できる。ドルからユーロへシフトする動きはいまやサウジアラビアと肩を並べる世界ナンバーワン原油生産国ロシアも同じ流れであろう。強い通貨に乗るのは相場の定石だからだ。
ユーロ買いの背景には、①欧州の景気が底を打ち回復しつつある、②ECB(欧州中央銀行)が再利上げするとの思惑も影響しているようだ。米国で利上げ打ち止め観測が強まり、欧州が利上げなら欧米間の金利差縮少でユーロが買われやすいのは自然の流れだろう。
為替の世界では、ここしばらくは、ユーロが主役を演じる舞台が続きそうだ。(了)
江嵜企画代表・Ken