WSJ紙電子版(4月10日)によると、供給不安から原油相場は、夏場のドライブシーズンやハリケーンシーズンを待たずしてバレル70ドルを突破、バレル80ドルも視野に入ってきたと報じている。ところが、日本では原油問題は蚊帳の外。他人事と見受けられる。
原油相場に先高感が強い背景には、堅調な世界景気、タイトな原油需給、石油精製能力不足を指摘している。
2005年8月のハリケーンで被害を受けた精製設備のうち23%、日量34万バレルがいまだ復旧されていない。原油増産が期待される産油国のなかで、サウジアラビアと並ぶ世界トップのロシアは昨年並みの生産水準のまま低迷しているようだ。
サウジアラビアは日量150万バレル増産していると伝えられるが、ナイジエリアでの減産でそっくり相殺されてしまった。イラン核施設空爆などイラク、べネズエラ含め供給不安を煽る材料に事欠かない。
その一方、OPEC全体としては、能力一杯の生産を続けている。増産余力が乏しいところに、下手に増産すれば値下がりを招くとする警戒感も根強いとWSJ紙は指摘している。
最近の原油相場堅調の裏には米国でのガソリン相場が夏場の需要期を前にしてガロン2ドル目前まで接近しており、ガソリン相場堅調がむしろ原油の先物相場を底支えしているとの見方が多い。
原油相場の値下がりが期待できる条件としては、米FRBの利上げ継続、景気鈍化のみであるとして、70年代に見られた米国経済ハードランディング、それに伴う原油相場急落の再来であるとコロラド州、原油コンサルタント、Philip VerkegerJr氏の見方をWSJ紙は紹介している。
ただ、米景気がそこまでの急激な悪化は予想しがたいので、今回の原油相場の上昇は100ドルを越えてさらに上値を追うことは考えられないが、一端は100ドルの場面に足を踏み入れない限り止らないかもしれないとのVerkeger氏の見方を紹介していた。
ウイーンで開かれたアジア欧州会議(ASEM)でも原油高騰は、経常収支不均衡、金利上昇と並ぶ世界経済のリスクとして適切な対策を求めると共同声明に盛り込まれた。
しかしながら、日本では朝刊休刊日の夕刊で紙面がなかったのか原油高対策含めASEM記事は小さく取り上げられていた。日本では原油問題は優先順位が低い証拠であろう。(了)
江嵜企画代表・Ken
原油相場に先高感が強い背景には、堅調な世界景気、タイトな原油需給、石油精製能力不足を指摘している。
2005年8月のハリケーンで被害を受けた精製設備のうち23%、日量34万バレルがいまだ復旧されていない。原油増産が期待される産油国のなかで、サウジアラビアと並ぶ世界トップのロシアは昨年並みの生産水準のまま低迷しているようだ。
サウジアラビアは日量150万バレル増産していると伝えられるが、ナイジエリアでの減産でそっくり相殺されてしまった。イラン核施設空爆などイラク、べネズエラ含め供給不安を煽る材料に事欠かない。
その一方、OPEC全体としては、能力一杯の生産を続けている。増産余力が乏しいところに、下手に増産すれば値下がりを招くとする警戒感も根強いとWSJ紙は指摘している。
最近の原油相場堅調の裏には米国でのガソリン相場が夏場の需要期を前にしてガロン2ドル目前まで接近しており、ガソリン相場堅調がむしろ原油の先物相場を底支えしているとの見方が多い。
原油相場の値下がりが期待できる条件としては、米FRBの利上げ継続、景気鈍化のみであるとして、70年代に見られた米国経済ハードランディング、それに伴う原油相場急落の再来であるとコロラド州、原油コンサルタント、Philip VerkegerJr氏の見方をWSJ紙は紹介している。
ただ、米景気がそこまでの急激な悪化は予想しがたいので、今回の原油相場の上昇は100ドルを越えてさらに上値を追うことは考えられないが、一端は100ドルの場面に足を踏み入れない限り止らないかもしれないとのVerkeger氏の見方を紹介していた。
ウイーンで開かれたアジア欧州会議(ASEM)でも原油高騰は、経常収支不均衡、金利上昇と並ぶ世界経済のリスクとして適切な対策を求めると共同声明に盛り込まれた。
しかしながら、日本では朝刊休刊日の夕刊で紙面がなかったのか原油高対策含めASEM記事は小さく取り上げられていた。日本では原油問題は優先順位が低い証拠であろう。(了)
江嵜企画代表・Ken