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国家破たん問題でユーロ首脳がベルギーで協議開始(学校で教えてくれない経済学)

2009-03-01 15:34:53 | 経済学
日本ではアメリカの話や中国のニュースはしばしば紹介されるが、ヨーロッパの動きには余り関心を持たない傾向が強い。アメリカを太陽に例えれば、ヨーロッパはお月さんのような存在であろう。月に映る姿を見ていると結構参考になることが多い。

太陽が存在しなければ地球上の人間は生きられない。しかし月の存在も無視できない。干満現象が月の引力によって引き起こされることは小学生でもよく理解している。干潮の時に人が亡くなり、満潮のときに生命が誕生することもしばしば見聞きしている。

早いもので2009年も3月を迎えた。日本とヨーロッパとの間には7,8時間の時差がある。日本の夕方には、ヨーロッパでは3月1日の朝を迎える。ベルギーのブリュッセルで欧州主要国の首相、経済閣僚が集まって、ユーロ圏で仮にある国が破たんの事態に追い込まれたらどのように対処するかについて協議が始まると今朝のWSJ紙が伝えている。

国が破たんするという事態は、仮定の話(What if)とはいえ、今の今まで、あり得ない事態だと受け取られてきた。欧州首脳がそのような議題で、協議することはなかったとWSJ紙のジョレン・ペリー記者とマルクス・ウオ―カー記者は書いた。

ドイツのアンジェラ・メルケル首相に会議の見通しについて記者の質問に対して、「我々は今まで一致団結(solidarity)して行動してきた。我々は一致団結(solidarity)して方策を見つける」と「ソリダリティー」、「ソリダリティー」を繰り返したとWSJ紙は紹介している。

もしユーロ圏である国が破たんすればどうなるか。より経済力の強いどこかの国、なかでもドイツに負担がかかる。共通通貨ユーロを使う国は現在16ある。破たんの危機に見舞われている国として、ポルトガル、アイルランド、ギリシャの名前が上がっている。オ―ストリー、イタリ―、スペインがあとに控えている。

ユーロの価値を維持するためそれぞれの国の財政赤字がGDPの3%を超えないことを歯止めにしている。リーマンブラザーズ破たん以降、極端な需要不振に陥った。景気振興のために財政支出を大判振る舞いした。3%以内ユーロ・ルールを今年中に7ヶ国が破ることになると見られている。

ユーロ圏経済は全体として、ここ数十年で最悪の状況にある。2月27日の発表によれば、ユーロ圏の失業率は12月の8.0%が1月に06年9月と同じ8.2%へ上昇した。インフレ率は各企業のコスト切り下げの影響で12月の1.6%から1.1%へ低下した。

財政赤字急拡大見込みから,ギリシャ、アイルランド、スペインの国債買い入れコストが急騰、格付け会社スタンダード&プアーズが、ポルトガル、ギリシャ、スペインの国債の格下げを先週末の2月27日に発表した。ここ3週間ではオ―ストリーの財政破たんの可能性が高まっている。

財政破たんリスクを知る指標としてドイツ国債との利回り格差が使われる。アイルランドが4%で最も危険度が高い。ついで3%に近いギリシャ、オ―ストリー、2%のイタリ―、1.5%のスペイン、ポルトガルと続く。

ユーロ圏はドイツの主力の輸出先である。一国が破たんすれば次々玉突き衝突を起こす。ドイツにかかる負担は想像以上だろう。1990年代、かつてメキシコが財政赤字で破たんした。アメリカが一手に損失を補てんした。余談ながら、当時、逃げ遅れた日本の多くの金融機関もメキシコ国債を手持ちしていて大やけどを負った。

一方、NY外国為替市場では、先週、ドルが安全通貨として買われた。WSJ紙によれば、主要通貨で構成されるバスケット指数に対して、ドルは先週1.6%、2月通して見れば2.2%上昇した。米国の10~12月のGDPは6.2%減少した。NYダウは12年来の安値に突入した。

米ドルが買われる環境には全くない。にも拘わらずドルは対ユーロで特に堅調に推移している。いかにヨーロッパの状態がアメリカ以上に深刻かについて月を鏡にして映しているのかもしれない。

日本にとってユーロ圏は果たして遠い国か?3月1日、ベルギー、ブリュッセルで開かれる会合の成り行きを心して見守りたい。(了)

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