住吉小学校合唱部記念コンサート
江嵜企画代表・Ken
神戸市立住吉小学校(創立明治6年)合唱部記念コンサートが、自宅近くにある「うはらホール」で午後3時から開かれるというので楽しみにして出かけた。音楽コンクール西日本優秀校発表音楽会で最優秀校に選ばれ、全国大会優勝、この日はそれを記念しての開催となった。
2時半開場前に既に列が出来ており、開演前にはほとんど満員になった。生徒の親御さんとおじいさん、おばあさんなどの家族、生徒の友達だろう、和やかな雰囲気が会場そこそこにに溢れていた。ただ、平日昼間ということもあって、男性の姿はまばらだった。会場の様子をいつものようにスケッチした。
住吉小学校が声楽で全国一になったことは、風の便りで聞いてはいた。しかし、第一声を聞いて、余りのうまさに正直、驚いた。まず、舞台姿が堂々としている。声量豊かである。ソプラノの高く響く声が特に印象的だった。しかし、ハーモニーを崩すことはなかった。全体に音程がしっかりしていた。
歌うに及んで熱を帯び、迫力を増していった。第一部は「崖の上のポ二ョ」を入れ軽くスタートした。第二部は、コンクール曲「この☆のゆくえ」と「満月の不思議ポロロッカ」を淡々と歌った。第三部に「にゃーご」という音楽物語をいれ、第四部で一気に爆発した。
「卒業」、「たいようのサンバ」、「日本の歌・こころの歌」では、「ふるさと」を歌った。「あの日の絵」では作詞・作曲された先生も舞台でギターを引いた。「本物を目指そうと頑張った。今の自分よりもっともっと高い自分を目指そうと頑張った」と歌にはさんでの先生の挨拶がはいった。
学校の近くのお年寄りの会「尚歯会」を随時、訪問している。その時歌ったという「川の流れのように」を聞いていて、涙腺が短くなったのか、知らず知らず涙がほほを伝わった。「千の風」も歌った。「はるかなる時へ/卒業するあなたへ」では親御さんも舞台に上がって子供たちと歌った。
歌いながら感極まって泣いておられるお母さんの姿があった。休日返上で子供たちに弁当をつくり続けた。夏の盛り蒸し風呂のような体育館での練習にも付き添った。「お母さんと歌うとうれしいです」と子供の代表が歌の初めに挨拶した。
今回の優勝メンバーは、6年生34名、5年生27名である。最近入部した4年生30名いれると合計91名になる。6年生は今回の舞台を最後に中学へ進学する。「日本一」になった誇りが、この先長い長い人生で、彼らに勇気と元気を与えることだろう。
指導者に恵まれると全く無名の子供の集団が全国一になることを実証した。この日、タクトを振られた室屋尚子さんは、演奏の最後に、「生徒本人の努力がまず第一、その努力や知識を引き出した指導者、子供を支えた家族や友達、今まで活動してきた先輩の存在、さまざまな積み重ねが結び付いた結果です。」と挨拶した。
アンコール催促の拍手がおこった。神戸は14年前7000人近い犠牲者を出す震災に見舞われた。震災では一人一人が支えあった。支え合うことの尊さを歌にした「幸せ 運べるように」を合唱部全員で歌った。
「日本一になるなど夢にも思わなかった」と子どもたちは挨拶した。その夢が現実になった。会場「うはらホール」玄関に全員揃って見送ってくれた。多くの人が、にこにこした表情で会場を後にした。素晴らしい時間をくれた住吉小学校合唱部に感謝、感謝である。(了)