クレマチス
江嵜企画代表・Ken
木曜日には、おなじみのフラワーショップ「潤」に新しい花が入荷する。しかもお値段が安いときているから朝から花愛好家をはじめ、買って帰って商売する人までいるから、いつも混雑する。
この日はかねてから入荷すれば是非描いてみたいと思っていたクレマチスが店の土間に、ところ狭しと並んでおり、早速買い求めて自宅でスケッチした。
ヤフーのブログをクリックした。学名はClematis。キンポウゲ科センニン属の総称。常緑または落葉性の藤本(とうほん)(つる植物)で、茎は細く,葉柄が曲がって他物にからみつく。葉は一般に3~9枚の小葉からなる複葉。花は4~8枚の花弁状の花被(かひ)、多数の雄しべ、多数の離生心皮からなる雌しべがあると出ていた。
JR三宮駅南から阪神バス停で待っていたら、かなりお歳をめしたご婦人が「クレマチスですね。もう出ましたか。早いですね。」と声をかけてきた。店売りは確かに早い。通りを歩いていてもまだクレマチスの姿を見ない。
当のご婦人は、ご自身でも以前から自宅で育てているという。「とても育てやすい花です。冬越しも容易。花が枯れたら切る。葉も枯れたらハサミを入れる。翌年また芽をだしてくる。」と話が止まらない。
「色は紫が好きだ。今ではピンクや白も加えて庭で7色育てている。」と、次々と飛び出す話を聞いているうちにバスが来た。説明のお礼を言いかけるが、しゃべり終わったらおしまいとばかりに、さっさとバスに乗り込んだ。気がつけば、座席を手際よく確保していたから誠に頼もしい。
クレマチスは、日本ではテッセン(鉄線)の名でもよく知られている。テッセンは中国原産で、日本へは15世紀後半までに渡来していた。室町時代の『黒本節用集』や『文明本』に「鉄線花」の名で載っている。ヨーロッパには、19世紀の初めにシーボルトがテッセンを伝えたと先のブログにあった。
混血は逞しくかつ美しいとされる。中国、日本、ヨーロッパで交雑育種を重ねて、逞しく生き続けるクレマチスの姿が正に象徴している。気品があり、実に美しい。好きな花のひとつである。(了)