吉川二郎コンサート風景at神戸元町ロッコ―マン
江嵜企画代表・Ken
神戸元町ロッコ―マン4Fホールで野口二郎コンサート「フィラメンコギターとギ
タルパの調べ」が4月26日午後3時から開かれた。この日は大阪日本橋での日本画教室
と重なった。猪熊先生にお断りして中座させてもらい、会場に時間前に到着した。
会場の様子をいつものようにスケッチした。黒のスーツに真っ赤なネクタイが光って
いた。男女併せて4~50人の野口二郎ファンでほぼ満席だった。
第一部は吉川氏のギター独奏で4曲、15分休憩後の第二部は、吉川氏のギタルパ演
奏に野口久子氏がギター伴奏で4曲、外の空気を入れて、一呼吸置いて吉川二郎氏編
曲の4曲を吉川・野口両氏によるギター二重奏を堪能した。
吉川二郎氏の演奏会では氏の語りがユーモアをまじえて独特で、演奏もさることな
がら語りを楽しみにして会場を訪れるファンもいるに違いない。正直、筆者もそのう
ちの一人である。
吉川二郎氏は1951年生まれ。演奏の途中の語りの中で「今年64歳になりました。
1977年にスペインに渡り、師事したコンサートフラメンコギターの巨匠、マヌエル・
カーノ氏は64歳で亡くなりました」と云って、いたづらっぽくウインクした。師匠、
カーノ氏のエピソードとして「初めて出あった時のことですが、楽譜はない。ハイ弾
きなさいで、1小節弾く。次に2小節弾く。3ケ月でやっと楽譜を覚えたところで繰
り返す。それが方針だった。録音して家でなんども聴いて覚えた。カーノ氏が来日の
際には、通訳を兼ねて演奏会に随行した。」と話した。
氏は関西学院大学卒業である。「当時学校のギター部の先輩後輩が今日も大勢来て
くれています。」と云って会場に目をやった。「バロック音楽をよく弾いていまし
た。学生時代の経験が今も生かされています」と話した。
共演者の野口久子氏について「最初の共演者は1~2名いました。男性でした。馴
れるに従い共演者が前に出て来るようになりましたので代えました。野口さんは前に
出ない。きっちり役割をわきまえている。楽しくやれる。17年続いています。」
と、氏独特の柔和な笑顔で、ここでまたウインクした。
会場の熱気と異常気温のせいですっかりのどが渇いた。帰路、神戸三宮高架下の一
杯飲み屋を探していたら、地下一階の店の『生ビール、ワンコイン串カツ5本」の看
板につられて入った。2~30名で満席、狭かったが、若者主体で賑わっていた。
JR三宮駅からたまたま来た普通電車に乗った。絵の教室の帰りで荷物を持ってい
た。はた目には足元がふらつぃていたのかもしれない。さる男性が席をたって「どう
ぞ」というではないか。ありがたく座らせてもらい、助かった。最寄駅住吉で降りる
時、「ありがとうございました」とくだんの男性に挨拶した。即『どういたしまし
て』と返事が来た。嬉しかった。自分では若いつもりでも寄る年波には勝てない。
この日は日本画教室で猪熊佳子先生から柿の木の下絵の貴重なアドバイスを受け
た。演奏会も素晴らしかった。中でも帰路、電車で席を譲ってもらったことが一番
だった。日本もまだまだ捨てたものではないと改めて元気をもらった。(了)