細川正義氏大いに語る
江嵜企画代表・Ken
神戸市内に本社を置くヘルスケア企業、シスメックスの株主総会が6月23日(金)午前10時から神戸西神オリエンタルホテルで開かれた。当社の設立は1968年2月、今回が第50回目の株主総会だが初めて参加した。会場の様子をいつものようにスケッチした。
型どおり営業報告が終わり10時22分から始まった株主との質問に集中した。一番に手を挙げた株主は「アナリストに推奨され当社の株主になった。今年で総会出席は2回目。当社は中国関係の売り上げが多いが、人民元安で中国関連の営業利益が大幅減少した。社長は神戸商工会議所会頭でもある。関西財界の重鎮の一人としても中国に関する意見を聞きたい」と聞いた。家次恒社長がマイクを持った時間を見たら10時28分だった。質問の中身を書いているだけで紙数は尽きる。
家次社長は「中国で高齢化が急速に進んでいる。中国で今漢方医学から西洋医学へ変わってきた。最近中国では国産優遇策から海外企業締め出しが進んでいるが当社は現地でのノックダウン方式である。中国は楽しみな市場である。」と話した。
2番目の株主は「配当利回りが低い。説明してほしい」と聞いた。社長は「当社に対して高い評価をいただき株価が高い。そのため配当性向が低くなる。海外の売上高比率が82%と高い。現地通貨建てでは中国も8%増加した。為替の変動を大きく受けた」と答えた。
3番目の株主は「当社の成長戦略を聞きたい」と質問した。社長は「血中検査と尿検査が中心だ。当社は血液中の遺伝子を分析する技術をもっている。次のコア事業に据えたい。地球の人口は年々増加している。先進国では高齢化が進んでいる。中国では漢方から西洋医学へ移行している。特に遺伝子分析に期待している。」と答えた。
4番目の株主は「シスメックスと聞いても知らない人が多い。認知度が極めて低い。」と聞いた。社長は「11月19日開催の神戸マラソン2017」を応援している。かってマラソンの野口裕子さんが当社の陸上部に所属していた。積極的に知名度を高める努力を続けたい」と答えた。認知度に関連して社長は「2017年版『Global100』で「世界で最も持続的可能な100社」で昨年88位から今年総合70位に上げた。CSR活動を積極的に推進していきたい。」と答えた。
ある株主は「当社のオンリーワンの要素を教えて欲しい」と聞いた。社長は「血球検査は世界ナンバーワンです。試薬検査も当社が企画、開発から全て自分で行う。そのため顧客と直接対応できる。それが強みかなーと考えている」と答えた。
次々と株主から質問が出て、11時半まで続いた。ときに担当役員さんが答えたがほとんどは家次社長がゆっくりとした口調で丁寧に答え好印象を受けた。
株主との質問のやりとりでは海外取引のウエートが82%と高いことから為替レートの変動に左右されやすい企業だということと将来の展望として遺伝子分析に踏み込むことによって一人一人にあった最適医療を選ぶ「個別化の医療」に正面から取り組むとの強い決意を感じた。
同じクスリでも人によって効く,効かないがある。人によって副作用が出る、出ないがあるからだ。社長は「5年で遺伝子分析にめどをつけたい」と株主の質問に答えていた。
株価は時価一株6,800円前後と高い。為替変動に大きく左右される。余裕がないとついていけない。老い先短い年寄りには縁遠い存在だが、孫への手土産にはいいかもしれない。若い投資家にとっては魅力的な企業だろう。(了)