ヴァイオリンとピアのコンサート風景
江嵜企画代表・Ken
御影公会堂 白鶴ホールで11月5日(土)午後1時半からヴァイオリンとピアノコンサートが開かれ楽しみにして出かけた。会場の御影公会堂は昭和8年(1933)白鶴酒造7代目、加納治五郎氏が現在の貨幣価値で20億円の私財を投じて建てられたことで地元ではよく知られている。ほぼ1年かけたあと2017年4月にリニューアルオープンした。
自宅マンションから国道2号線に沿って西進、ゆっくり歩いて15分ほどのところに御影公会堂がある。建物の前はバスなどでしばしば通るが建物の中を一度見てみたいと思いながら果たせてなかった。玄関ホール入るなり、いきなり白鶴ホールである。改装前に訪れたことがあるが見違えるように明るくなった。
会場で配布されたチラシによれば、チームリーダー、バイオリニスト、尼崎有実子(あまさきゆみこ)さんが、クラッシック音楽を身近に感じてもらえる機会を増やしたいとの思いから企画したと言われるViolin Duo Concertの第4回目のコンサートである。バイオリニスト、柳楽毬乃(なぎらまりの)さん、ピアノ伴奏、尾上理絵(おのえりえ)さんの演奏をアンコール曲入れ3時半まで堪能した。
尼崎有実子さんは「3歳よりヴァオリンを始めた。千葉出身であるが、彼女の祖母が神戸に住んでいる。神戸は山を背に海に面した美しい町で大好きだ。神戸での演奏会もあって、しばしば訪れている」と話した。
演奏曲のはじめに彼女の語りがはいる。それがまたよかった。老人ホームや幼稚園、各種施設での演奏会も数多いそうだ。彼女の話の中に「皆様になじみのある」「親しみのある」曲という言葉が何度も出て来た。この日もなじみ深い曲目が多かった。会場の様子をいつものようにスケッチした。ご婦人中心にお年よりの姿が多かった。
演奏はサラサーテ作曲NAVARA(ナバラ)という明るいイメージの軽やかな曲からはじまった。ビゼーのカルメン組曲、ショスタコーヴィッチの5つの小曲を聞いて15分間の休憩に入った。第二幕はシモネッテイのマドリガルからはじまりブラームスのハンガリー舞曲5番、サン・サーンスの白鳥、モンティのチャルダッシュと続いた。素人ながらどこかで耳にした曲が多かった。
アーノルド・メンデルスゾーンの曲で締めた。尼崎さんはメンデルスゾーンと聞くと「結婚行進曲」「ヴァイオリン協奏曲」を頭に浮かべるがそれはフエリックス・メンデルスゾーン。アーノルドはフエリックスのいとこの子供です。面白いことにフエリックスの若いころの時の曲の宗教感のある和音、ドイツらしい旋律とが融合して斬新な味を出していると話した。
尼崎さんは「ヴァイオリンの柳楽さん、ピアノの尾上さんは自身の母校、京都市立芸術大学の後輩。尾上さんは母親の姉妹の子供だとあとで知った。メンデルスゾーンと重ねて、思いがけないところにご縁があると感じます」と話した。
尼崎さんは「御影公会堂を建てた加納治五郎さんは日本でのオリンピック開催を呼び掛けた最初の人で、2020年のNHK大河ドラマにも出て来るそうです」とびっくりニュースをお披露目した。事前に取材しておいた話題や情報を会場でさりげなく紹介する。感心した。余談ながら、リニューアルされた御影公会堂には加納治五郎コーナーが地下一階にある。訪れたことはないが、尼崎さんはひよっとしたらそこで仕入れたのかもしれないと勝手に想像している。御影公会堂の掲示板には公会堂を訪れたときの御影小学校生徒の複数の感想文が紹介されていた。
尼崎さんは「神戸は祖母からご縁をもらった。その縁で今日、御影公会堂で神戸の皆様の前で演奏会を開くことができました。ありがとうございました」と話してお開きとなった。(了)