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大腸経木への刺鍼
春は肝臓の症状が出やすい季節で、当院にも肝虚の方が時々来られます。
たとえば先日、以下のような症状を訴えて来た方がいました。
≪右肩から肩甲骨にかけて痛みがあり、肝臓部が重だるく、首回りが詰まっているようですっきりしない。頭痛はひどくはないが、だらだらと続いている。きのうから左の腰が痛い≫
このカルテから読み取れることと、診断(脈診、脊椎診、腹診)から考えられることは、下記のようになります。
こんな単純なものではありませんが、とりあえず概要を書いておきます。
右肩・右肩甲骨 →肝
肝臓部が重だるい →肝
首回りが詰まっている →筋・骨格
頭痛がだらだら続く →頸部の凝り
左の腰が痛い →大腸
それで一穴鍼法はどのようにしたかと言いますと、左の「大腸経木」に刺鍼しました。
一穴鍼法では、基本的に脈位の側に刺鍼するのですが、大腸経の治療をする場合は、同側に選穴したほうが効果は高いので、「左の腰が痛い」と言うのを優先させて、左の大腸経を使ったわけです。
※ 七星論での脈位は、左手に「心包・脾・腎」、右手に「肺・肝・心」と配置してあります。
さて、上記の診断から、肝と大腸が原因の症状と思われますので、肝の分析から行ってみます。
中医学で考える「肝の働き」には、
① 蔵血作用:血液を溜める働き
② 疎泄作用:新陳代謝を促しエネルギーの流れをスムーズにする
というのがあり、それらの働きが悪くなると、煩燥易怒(騒ぐし怒りやすい)となったり、胸や脇の痛みが出たり、イライラしたり、怒りっぽくなったりします。
また、肋間神経痛のようなチリチリをした痛みも出てきます。
その中でも、わかりやすい肝虚の症状は「イライラ」とした感情が出てくることです。
一口に「肝虚」と言っても、
① 「肝気虚」(やる気がない状態)
② 「肝血虚」(痺れ、ふらつき、頭痛、眼精疲労、生理不順や少ない経血、凝り)
③ 「肝陰虚」(煩燥易怒、胸脇部の痛み。内熱、五心煩熱、細数脈)
などに分けますので、ちょっと複雑です。
では、何故「大腸経木」に刺鍼したかと言いますと、左腰の痛みが大腸からきているので、大腸経を使ったのですが、大腸経でも「大腸木」を使っていますので、肝の治療としても使えるわけです。
これは七星論で説明しますと、「木=肝・胆」と「金=肺・大腸」は、七星論での対応経絡になり、金(大腸)を補すことで、木(肝)も整えられるからです。
つまり、大腸を整えることは、肝を整えることにもつながるということです。
それで、その患者さんはどうなったかと言うと、大腸木に刺鍼した後、
「どうですか? 腰や頭は」と聞いたところ、起き上がって腰を動かしたり、首を動かしたりしてから、
「はい。すっきりしました」と答えていました。
それから、ブレや再発が出ないように、全経絡を整えて治療を終了しました。
全経絡を整えるのは、再発を防ぐためで、これをやるのとやらないのとでは、後日に大きな差がでますので、いつも全経絡を整える治療を加えるようにしているのです。
ですから、「一穴鍼法」と言っても、一穴だけへの刺鍼で治療を終わるわけではないので、勘違いしないようにしてください。
「一穴鍼法」は、一穴で、患者さんの訴える症状を治めて、安心して治療を受けてもらうための手段なのです。
ただ、セミナーなどでパフォーマンスをする場合は、一穴で済ますことがほとんどです。
が、その場合は、受講者の元気な人がモデルになるので、問題が出ないわけです。
大腸経木への刺鍼
春は肝臓の症状が出やすい季節で、当院にも肝虚の方が時々来られます。
たとえば先日、以下のような症状を訴えて来た方がいました。
≪右肩から肩甲骨にかけて痛みがあり、肝臓部が重だるく、首回りが詰まっているようですっきりしない。頭痛はひどくはないが、だらだらと続いている。きのうから左の腰が痛い≫
このカルテから読み取れることと、診断(脈診、脊椎診、腹診)から考えられることは、下記のようになります。
こんな単純なものではありませんが、とりあえず概要を書いておきます。
右肩・右肩甲骨 →肝
肝臓部が重だるい →肝
首回りが詰まっている →筋・骨格
頭痛がだらだら続く →頸部の凝り
左の腰が痛い →大腸
それで一穴鍼法はどのようにしたかと言いますと、左の「大腸経木」に刺鍼しました。
一穴鍼法では、基本的に脈位の側に刺鍼するのですが、大腸経の治療をする場合は、同側に選穴したほうが効果は高いので、「左の腰が痛い」と言うのを優先させて、左の大腸経を使ったわけです。
※ 七星論での脈位は、左手に「心包・脾・腎」、右手に「肺・肝・心」と配置してあります。
さて、上記の診断から、肝と大腸が原因の症状と思われますので、肝の分析から行ってみます。
中医学で考える「肝の働き」には、
① 蔵血作用:血液を溜める働き
② 疎泄作用:新陳代謝を促しエネルギーの流れをスムーズにする
というのがあり、それらの働きが悪くなると、煩燥易怒(騒ぐし怒りやすい)となったり、胸や脇の痛みが出たり、イライラしたり、怒りっぽくなったりします。
また、肋間神経痛のようなチリチリをした痛みも出てきます。
その中でも、わかりやすい肝虚の症状は「イライラ」とした感情が出てくることです。
一口に「肝虚」と言っても、
① 「肝気虚」(やる気がない状態)
② 「肝血虚」(痺れ、ふらつき、頭痛、眼精疲労、生理不順や少ない経血、凝り)
③ 「肝陰虚」(煩燥易怒、胸脇部の痛み。内熱、五心煩熱、細数脈)
などに分けますので、ちょっと複雑です。
では、何故「大腸経木」に刺鍼したかと言いますと、左腰の痛みが大腸からきているので、大腸経を使ったのですが、大腸経でも「大腸木」を使っていますので、肝の治療としても使えるわけです。
これは七星論で説明しますと、「木=肝・胆」と「金=肺・大腸」は、七星論での対応経絡になり、金(大腸)を補すことで、木(肝)も整えられるからです。
つまり、大腸を整えることは、肝を整えることにもつながるということです。
それで、その患者さんはどうなったかと言うと、大腸木に刺鍼した後、
「どうですか? 腰や頭は」と聞いたところ、起き上がって腰を動かしたり、首を動かしたりしてから、
「はい。すっきりしました」と答えていました。
それから、ブレや再発が出ないように、全経絡を整えて治療を終了しました。
全経絡を整えるのは、再発を防ぐためで、これをやるのとやらないのとでは、後日に大きな差がでますので、いつも全経絡を整える治療を加えるようにしているのです。
ですから、「一穴鍼法」と言っても、一穴だけへの刺鍼で治療を終わるわけではないので、勘違いしないようにしてください。
「一穴鍼法」は、一穴で、患者さんの訴える症状を治めて、安心して治療を受けてもらうための手段なのです。
ただ、セミナーなどでパフォーマンスをする場合は、一穴で済ますことがほとんどです。
が、その場合は、受講者の元気な人がモデルになるので、問題が出ないわけです。